進展工業株式会社(新潟市)が長期間の消臭を実現する猫用トイレのモニター使用者を募集中
高性能の消臭と長期の使用を両立するネコ用トイレ
進展工業株式会社(新潟市西区)が、独自開発したネコ用トイレ「グリーンマナーキャット4000」(試作品)のモニターを募集している。同社がこれまで展開してきた籾殻炭と新たに開発したクエン酸シートにより、最大約1ヶ月間ネコの尿臭を防止するという。
「グリーンマナーキャット4000」に付属する消臭シートは、「高分子樹脂」、「クエン酸シート」、「籾殻炭」の3層構造となっている。既存のネコ用消臭シートは、吸水効果を持つ高分子樹脂単体、もしくは高分子樹脂と消臭効果を持つクエン酸を混合で構成されている。しかし、ネコの尿がクエン酸と均等に混ざらない場合、尿のアンモニアが完全に中和されず臭いが残ってしまう。
そこで進展工業は、クエン酸をキッチンペーパーなどに用いられる紙に付着させることで、クエン酸と尿が均等に混ざる構造を開発。加えて、消臭効果を持つ籾殻炭で上面を覆うことで、長期使用による臭いの漏れも遮断することに成功した。
この独自の構造により、ネコ1頭の尿量で約1ヶ月、2頭で約15日間、シートを変えずに尿の臭いの発生を防止することができる。効果については、新潟県工業技術総合研究所により実証されている。また、多頭飼いで複数個トイレを使用する場合に備え、シートの交換時期を知らせる機能をつけた試作品も開発した。
モニターの期間は約1ヶ月間となるが、継続して利用したい場合は本体(5万円相当)を無償で貸与し、消臭シート1式3,000円(税抜)のみを購入する形となる。今後はモニターからの声を参考にしながら、来春までに製品を販売する予定だという。なお、製品の価格は約3万円を予定しており、地元のペットショップのほか、ネット販売も計画しているようだ。
籾殻炭利用をして経営の転換を
進展工業の創業は1980年。設備建設業の管工事をはじめ、大規模ポンプ場、ゴミ焼却プラント、大型ビルの熱源機械などを手がけてきた。一方で、建設業は固定の顧客や継続的な利益を出すことが難しいフロービジネスである点に「長年悩ませれてきた」と創業者の長谷川弘顧問は語る。そうしたなか、ゴミ処理場や農業協同組合から、毎年発生する大量の籾殻をどうにかできないかと相談を受け、籾殻炭の利用を思いついたという。
進展工業ではこれまで籾殻炭を利用し、オイル流出事故用の「オイルワイパー」や、緊急時用ポケットトイレ「グリーンマナーH」など多くの商品を発売している。しかし、その多くは緊急用の側面が強く、継続的な利用やリピーターの獲得には至らなかった。長谷川顧問は「今までの製品は、籾殻炭の持つ消臭・油分吸収能力を活かせても、『こういうモノが作りたい』という意識が曖昧だった。今回のネコ用トイレは、しっかりと目標や販売戦略を明確にしてモノづくりに挑んでいる。ネコ用トイレ本体ではなく、消臭シートの販売でストックビジネスへ転換していきたい」と語っていた。
現在日本国内で飼われているネコは約1,000万頭だが、愛猫家のうち約4割はネコの尿臭に悩まされているという。当然、日本だけでなく世界に共通する問題であり、今後進展工業がどのように展開するか期待される。