ブランド化に取り組む「越後本ズワイ」
今年11月の「フードメッセinにいがた」にも出展
新潟県で漁獲されるズワイガニの水揚量は約200tで全国6位を誇るが、単価は全国平均の約半分にとどまっている。また、福井県の「越前ガニ」 や鳥取県などの「松葉ガニ」と比べて知名度が低く、産地として認識されていない。 そうしたなか、新潟県では漁業関係者の所得向上も視野に、昨年度から「越後本ズワイ」のブランド化に本格的に乗り出している。
ブランド化にさいし、品質確保、PR、漁具開発など様々な観点からアプローチしている。このうち、ブランド構築に関して、他県では、経験豊富な市場関係者が統一した規格に基づく選別を行うため、品質のバラツキが小さく、県内外から高い信頼を得ている。一方、新潟県には、統一した規格がなかったうえに、ズワイガニを専門に獲る漁業者が少なく、市場関係者の選別の熟練度も低かったことから、 品質にバラツキが大きかったという。
そこで、新潟県水産海洋研究所が平成28年度に、「甲羅の大きさ(長さ)」と「カニの重さ」から、身の詰まり具合を判別できる「選別スケール」(カニ版のBMI)を開発し、カニの品質の向上と安定化に取り組みはじめた。さらに、県や各地の漁協などで構成する協議会が中心となり、「800g以上のオス」「泥を吐かせる処理を行っている」「出荷時に生きている」など5つの統一規格を定め、これをクリアしたものだけにタグを付け、「越後本ズワイ」として 平成29年12月から出荷を開始した。
PR面では、「フードメッセinにいがた」(11月開催)への出展に加え、ズワイガニの一大消費地である関西でテレビ・雑誌などでPRし、カニツアーなど新潟への誘客拡大を図っていくことを検討している。このほか、水産海洋研究所が大型のズワイガニのみが捕れる網を開発しているという。