「わが町に生の音楽を」新潟市北区で音楽フェス開催決定。主催者と演者が未来につなぐ音楽の灯火
新潟市北区で11月23日(月祝)、音楽フェス「ノーザンミュージックフェスティバル2020~MUSIC SPIRAL~」が開催される。ノーザンミュージックフェスティバル(以下ノーフェス)としては2018年に続き2回目、昨年のスピンオフ企画を合わせると3年連続の開催となる。
主催者のNMCWORKS代表・阿部淳一さんは、生まれ育ちも旧新潟市北区の旧豊栄市。音楽イベントを主催するきっかけとなったのは、2015年、一般社団法人にいがた北青年会議所の理事長を務めた時だった。学生時代から趣味でバンド活動をしていたこと、本業でイベント会場設営に関わっていたことなどから、任された事業を音楽にしようと決めた。それが、ノーフェスの前身で、2015、2016と2年連続で開催された「ノーザンミュージックサーキット」だった。
その頃、縁あって出会ったのが、シンガーソングライター・クマガイマコトさんだ。クマガイさんは当時のことをこう語る。「出演オファーはもちろん何でもメール1通で済まされることがほとんど。そんな時代に、阿部くんは企画書を持ってわざわざ会いに来てくれたんです。その心意気に自分と同じ匂いを感じたのを覚えています。まだこんな人がいるんだなって。企画書を読まずとも、会いに来てくれた時点で出演することは決めていましたよ」。
この時以来、阿部さんは小規模なライブも含めたイベント企画、クマガイさんは定期的なライブ活動を続け、北区に音楽の火を灯し続けている。
今回のノーフェスは、新潟市企画提案型文化芸術イベント支援事業に採択された。「資金面は個人で動くには限界があるので、やり方を変えなければと思っていました。市の補助金を受けられるのは、この火を絶やさないためにとても大きなことです」。と阿部さん。
目指すのは音楽イベントを続けていくこと。日々全国をツアーで回っているクマガイさんも「大きな花火を一発打ち上げるなら誰でもできるし、続かず消えていくのをいくつも見てきました。小さくても続けていくことが一番の才能だと思うんです。僕は、音楽って特別な日のごちそうでなく、日々の暮らしの中のサウンドトラックでいいと思っていて。週末に近所の店で音を出していて、そこへ普段着で行ける。それが僕の仕事のテーマだし、阿部くんが目指していることだと思うんです」と話す。
ノーフェス当日は、現地スタッフとして阿部さんの知人やクマガイさんのファンなどが自主的にボランティアで参加するという。阿部さんが一人で作ってきたものをクマガイさんらキャストとスタッフが賛同し形にするという、ノーフェスならではの運営も、続けていくという想いを支えている。
阿部さんは、故郷を「究極のベッドタウン」と表現する。大学生時代、関東出身の同級生を自宅に招いたはいいが、案内する観光地がないことに気付いた。「住むにはいい町ですよ。生活環境は整っているし空港も近い。ただ、刺激が足りないなと。大学卒業後、地元に帰ってきた僕は、この町に根を降ろすことを決めました。一方、偶然にも北区出身だったクマガイさんは、全国を旅していてどこにも根を張らない人。だけど、根っこにある思いが一緒だったんです。共にこの町に音楽の火を灯そうと活動していますが、実は示し合わせたこともなく、お互いやりたいからやっているんですよ」(阿部さん)。
ノーフェスには、さまざまなカラーのアーティストが出演する。そこには、訪れる人を選ばず、さまざまな感じ方をしてほしいという狙いがある。「誰が出演するからではなく、ノーフェスに行くという行為自体を楽しんでもらえたら嬉しいです。その中で、例えばオープニングアクトのゴスペルが一番好きとか、クマガイさんの3ピースバンドがいいとか、ウルフルケイスケさんの音を生で聴けて嬉しいとか、さまざまな思いを持ち帰ってもらえると思います」(阿部さん)。「親しくさせていただいているウルフルケイスケさんは、気持ち一つで毎回出演してくださっています。僕やケイスケさんは阿部くんに賛同して初回から演奏しているけど、仮にキャストを総入れ替えしてもノーフェスは続いていくというのが理想かな。北区でフェスが毎年開催されることで、音楽が根付いてくれたらいいなと思っています」(クマガイさん)。
感染症対策を万全にして開催するため、チケットは100枚限定販売。興行としての収益よりも、こんな時期だからこそ生の音楽を届けたいという想いがある。「フェスは夕方からなので、昼間福島潟を散策したり、夜は月岡温泉に泊まったりと、新潟観光の思い出にノーフェスを楽しんでいただくのもいいと思います」とクマガイさん。生で聴く音楽に身を任せ、思い思いの過ごし方で秋の夜長を過ごしてみてはいかがだろうか。
【NORTHEN MUSIC FESTIVAL 2020】
・開催日 11月23日(月祝) 17時開演、21時終演予定
・会場 水の駅「ビュー福島潟」6F特設会場(新潟市北区前新田乙493)
・出演 ウルフルケイスケ、クマガイマコトTRIO(Vo.&Gu.クマガイマコト、Sax.加藤雄一郎、Dr.オータコージ)、ケミカル⇄リアクション 他オープニングアクト2組
・チケット 前売3,000円 当日3,500円(中学生以下は無料・要登録、未就学児入場不可)
・チケット購入 tiget.net/events/105354 ※要『TIGET』会員登録、クレジット決済
・公式Twitterアカウント @nofessince2018
・問い合わせ NMCWORKS nmcworks@gmail.com