新潟大学教員有志が日本学術会議会員の任命拒否に関する声明を発表

日本学術会議会員の任命拒否に関する声明について会見する新潟大学教員有志

新潟大学教員有志は21日、菅総理が日本学術会議の新規会員の任命にあたり学術会議から推薦された105名のうち明確な理由を示すことなく6名の任命を拒否した問題について、任命拒否の撤回などを求める声明を発表した。

声明を発表するに際し、有志メンバーは、新大の五十嵐キャンパスの教員に声明への賛同を募った。五十嵐キャンパスには約600名の職員がいて、全ての職員ではないがメールで賛同を募ったところ、1週間という短期間だったにも関わらず、およそ100名の賛同があった。新潟県庁で開かれた記者会見によると、「所属する学会の声明などにすでに賛同している」との声があったほか、旭町キャンパスの職員には今回呼びかけなかったことから任命拒否に反対する賛同する職員数はこれよりも多いと見られる。

日本学術会議は、科学が第二次世界大戦などに利用された戦前の反省を踏まえ1949年に、内閣総理大臣の所轄の下、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立された。専門性を活かし「政府に対する政策提言」、「国際的な活動」、「科学者間ネットワークの構築」、「科学の役割についての世論啓発」を行なっている。

声明を出した背景には、この問題が“蟻の一穴”となり、憲法が保障する「学問の自由」「思想・良心の自由」「信教の自由」「表現の自由」「言論の自由」が侵害されるのではないかという危機感がある。

記者会見で出ていた危惧する意見は以下の通り。

「(学問研究が)真理探究や人類福祉に貢献するためには、政権や権力の干渉を受けず、自立性・独立性を重視していく必要がある。(この任命拒否問題が)今後(研究テーマを決まられてしまうなど)大学の学問研究にまで影響を与えることを危惧する」

「政府、国会にとって都合の悪いことでも述べていく責任がある。そういう中で今回の問題は看過できない」

「大学人が沈黙を守ることで戦争・軍国主義に協力してきたという歴史・教訓を踏まえなければいけない。こういう意味で賛同者を募り声明を出した」

「日本学術会議も10億円の予算がついている。予算をチラつかせて介入される恐れもある。こうなると、(行政から)補助金などをもらっている市民団体も『こういう発言をすると予算がもらえなくてってしまう』とどんどん忖度していくことになってしまうことが気がり」

「学問の真理探究は、物事を判断する枠組み(客観的事実)を与える。今コロナの問題があるが、感染の問題で今後大変になるだろうということは学術会議でも議論されたことがあり、起こりうることとしてあった。その後の運営(感染対策)は政治が関与してくることになるが、こういう真理探究は学問の役割」

一方、今後は、菅総理に声明文を送ったり、賛同者を増やしたり、他の大学・機関との連携を検討したりと様々な活動を展開していくという。

日本学術会議ホームページ
http://www.scj.go.jp/index.html

日本学術会議会員の任命拒否に関する声明

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