五頭山(新潟県阿賀野市・阿賀町)で倒れていた男性を救命措置、阿賀野市消防本部が女性2人へ感謝状を贈呈
阿賀野市消防本部(新潟県阿賀野市)は23日、山中で倒れた男性の救助に協力した、伊藤八重子さんと渡辺千春さんに感謝状を贈呈した。2人はともに登山愛好家団体「阿賀山の会(日本勤労者山岳連盟)」に所属する20年来の友人同士。救助は、2人が登り慣れた五頭山でのことだった。
人命救助を行なったのは4月20日。五頭山「三の峰コース」を下山していた60歳代男性が6合目付近で突如倒れた。7合目付近に居た伊藤さんと渡辺さんは、男性の同行者が叫ぶ「助けて」という声を聞いて急いで下山し現場を発見した。
現役の看護師である伊藤さんが男性を観察すると意識が無かったため、救命措置として胸部圧迫を開始。その間渡辺さんも、消防への通報や位置・情報共有を行なっていた。2人は男性が意識を取り戻した後も、お湯を飲ませたり、雨具を着せて保温するなど衰弱しないよう措置した。その後、男性は県警ヘリにより病院へ搬送され、一命を取り留めた。
当時の心境について伊藤さんは「死なせないために(必要な措置を)なんでもやってみるしかない、ともう必死で…」と振り返る。一方で、伊藤さんは救命措置を、渡辺さんは連絡を、と分担できたことから冷静に対処できた面もあると互いに話していた。
渡辺さんは今回の感謝状について「2人とも最初は辞退していたが、消防本部から『事例紹介の意味合いもある』と聞いて、受けることにした。(今回のように措置することで)命が助けられるということを多くの人に知ってもらえたら」と語る。
今回の協力について阿賀野市消防本部の加藤昭消防司令長は「2人の連携に加え、助けを求める声が聞こえた時に、すぐに駆けつける勇気が素晴らしい。『当たり前のこと』と2人は言うが、それがなかなか難しい」と称える。また、これからアウトドアが盛んになる夏時期を前に「山へ入る際は、天気や気温、時間などを予想して下準備をしっかりと行うことが大事」と改めて呼びかけた。