「ありがたい資産」米粉PRキャラクター「コメパンマン」の今とこれから

©やなせたかし

「コメパンマン」は、平成20年2月17日に開催された東京マラソンでデビューした。米粉のPRキャラクターとして作成された。作者は、「アンパンマン」の作者のやなせたかし氏。特徴は、まあるい顔にクリッとした目のキャラクターで、ヘアースタイルと目が米粒をイメージして作られた。

デビューしてからは、新潟県の米粉関連のイベントなどで活躍していたが、近年、露出が減ってきたように思える。今回は、近年のコメパンマンの活動状況や今後の展開を、新潟県農林水産部の担当者に聞いてみた。

まず、コメパンマンの近況について質問すると、近年はコロナ禍の影響を強く受け、イベントなどへの出演はあまりできていなかったという。しかし、今年に入り、ウクライナ情勢の影響で小麦粉が高騰し、米粉の注目度が世間で再び高まっているのを受け、米粉のPRを改めて力を入れて頑張ろうという活動の一環で、コメパンマンの活動の機会は増えていく予定だという。ゴールデンウィーク明けにテレビに出演したり、国が発行している子供用の資料などに掲載されるなど、再び活躍が始まっている。

国内の米粉需要は拡大してきている。米粉用の米の需要は、平成29年度までは2万トンで推移していたが、米粉の特徴を活かし、グルテンを含まない特性を発信する「ノングルテン米粉第三者認証制度」や「米粉の用途別基準」の運用を平成30年から開始したところであり、令和3年度は4.1万トンとなっていて、近年は全国で米粉の需要量が拡大している。米粉用の米の需要量拡大は、行政の取り組みや企業の取り組み、米粉を使った商品開発が盛んに行われた結果の数字と言えるだろう。世間では食料安保が叫ばれる中、広告塔としてのコメパンマンの活躍が期待される。

新潟県のコメパンマンの担当部署の職員は、「(コメパンマンは)やなせたかし先生が新潟のために作ってくれたキャラクターで、非常に重要でありがたい資産だと思っている。更なる米粉の需要拡大に向けて、どんどん使っていきたいと思っている」と語った。

ここ3年は、コロナ禍に苦戦していたコメパンマンだが、コロナウイルスの感染者が減少し、イベントへの参加が緩和されていけば、露出が増え、再び多くの人にコメパンマンの名前が届く機会は増え、コメパンマンの顔を見る機会が多くなるのは、そう遠くない未来なのではないかと個人的には思う。

担当部署の職員が語るように、コメパンマンは紛れもなく、やなせたかし氏が新潟のために作ってくれた大きな財産だと思う。変わり続ける社会事情の中、この財産を使って、新潟の米粉事業の大きな躍進を筆者は期待している。

(文・児玉賢太)

©やなせたかし

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