新潟県燕市のツインバード工業株式会社が機関投資家向けの決算説明会を開催
収益性は改善し、コロナ禍影響も限定的
新潟県燕市のツインバード工業株式会社は26日、機関投資家向けの決算説明会を開催した。ツインバードに野水重明代表取締役社長は説明会にて、4月に発表した中期経営計画の初年度業績目標を達成する見込みである旨や、同社が量産に成功したスターリング冷凍機(FPSC)事業の今後の展開などについて説明した。
ツインバードの2021年2月期第2四半期決算(連結)時の売上高は、前年度の増税前駆け込み需要の影響もあり、対前年同期に比べ△10.7%の減収の52億3,700万円となった。しかし一方で、中期経営計画の主要施策として、商品管理点数の削減と、高収益商品への販売の重点化を行った結果、売上総利益率は3.9%向上し収益性が向上した。
また、新型コロナウイルスの影響によりホテルや病院といった業務用家電市場での業績回復は遅れているものの、第1四半期と比較して家電量販チャネルは回復基調へ転じ、前述の駆け込み需要の影響を除いた場合の当第二四半期の売上高は、実質的に増減率△3.5%の減収に留まり、コロナ禍の影響は限定的だとツインバードは推測している。
ツインバードは中期経営計画の初年度業績計画を達成する見込みであり、今後も年末商戦や新生活商戦へ向けて新商品の導入やEC市場・ポイントサービス市場の開拓を進め、同時に原価低減や変動費の効率化を推し進めてさらに収益性を改善していくという。
新規事業で医療コールドチェーンへの進出を狙う
現在ツインバードでは、FPSC事業の医療・バイオ分野への拡大を目標としている。FPSCは冷媒に少量のヘリウムガスを用いた冷却システムで、燕三条企業のネットワークを用いてツインバードが量産に成功した技術。従来のコールドチェーン(低温保管の物流網)輸送や病院、公共施設などのワクチン摂取施設の多くは極低温対応の機器を備えていないため、新たな需要が期待されるという。さらに、従来冷媒に用いられていたフロンガスではなく地球温暖化係数ゼロのヘリウムガスを使用していることから環境負荷軽減の点でも注目されている。
ツインバードは23日、米国Global Cooling,Inc.がツインバード製フリーザーボックスを初期ロットとして1,000台新規受注したことを発表した。これは、前期販売台数の約2倍に相当し、バイオ医療品の保管と輸送などを目的とした商品として採用されたようだ。また、国際協力機構の「COVID-19を受けた途上国における民間技術の活用可能性にかかる情報収集・確認調査」にもツインバード製FPSC製品が採用され、発展国における需要や、政府開発援助(ODA)事業などへの活用の可能性も広がっている。
ツインバードはこうした活動を通して、 FPSC技術を医療分野でのスタンダードの一つとしていきたい考えだが、FPSC事業の現時点での業績への貢献は少なく、野水社長は「FPSC事業は、一過性の需要に終わってしまうリスクもよく検討しながら、工場の増設など事業の拡大をしていく」とも話した。ツインバード製FPSC製品販売が拡大する時期は、ワクチン開発やコールドチェーン構築状況に依存し、本格的な業績への貢献は次年度以降になると同社は予想している。
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