新潟県村上市の新潟リハビリテーション大学で拉致被害者の曽我ひとみさんが学生達へ講演
新潟県は27日、村上市の新潟リハビリテーション大学にて「拉致問題啓発セミナー」を開催した。セミナーでは、拉致被害者で2002年に帰国した曽我ひとみさんが登壇し大学生へ拉致問題の現状の解説や北朝鮮での生活などを語った。
県では2年前から大学生などを対象とした拉致問題セミナーを定期的に開催しており、今回は村上市の新潟リハビリテーション大学にて開催された。参加した医療学部リハビリテーション学科の1年生は事前に2008年に製作された拉致問題啓発アニメ「めぐみ」などにより拉致問題について学んでおり、セミナーでは実際に拉致を経験し、2002年に帰国した曽我ひとみさんの話に耳を傾けた。
セミナーにて曽我さんは、「皆さんは社会復帰を目指す人や障害者の方の手助けをするために学んでいると聞いた。当時の北朝鮮にはリハビリの専門家や専門医療機関は無かった。それどころか、あらゆる障害者は平壌市外へ隔離させられる。平壌市民は郊外へ強い差別意識を持っているが、一方で北朝鮮のすべての人がこの環境を受け入れているわけではない。皆さんはこれから様々な状態の人と接することになるかと思うが、一人一人に寄り添って社会復帰の手助けをしていってほしい」と学生たちへ語った。
講話後は質問や今回のセミナーの感想を伝える時間が取られ、10人ほどの学生が曽我さんへ、帰国時の思いや、今後の具体的な拉致問題への取り組み、夫のチャールズ・ジェンキンスさんと北朝鮮でどのように出会ったのか、などを質問した。曽我さんは学生から北朝鮮の医療体制について尋ねられた際「当時、一般の人々が行くことができる大きな医療機関は無く、小さな診療所のような場所しかなかった」と話した。講話の中には、未だ帰国が叶わない母の曽我ミヨシさんがどのように過ごしているのか心配する場面もあり、北朝鮮の医療体制や福祉制度に疑問を持つ学生もいたようだ。また県外からの学生の中には、今回のセミナーで拉致問題を新鮮で身近なものに感じたと話す人もいた。