韓国ロッテによる買収で再生した新潟県妙高市のロッテアライリゾート
新潟県妙高市のロッテアライリゾートは、韓国ロッテによる買収により復活し、昨シーズンまで、パウダースノーの雪質が受けてオーストラリアのインバウンドが好調で、業績を伸ばしてきた。また今年発売された「ミシュランガイド新潟版」にもホテルとして掲載されるなど、高級なブランドイメージの構築も成功している。
ロッテアライリゾートの前身はアライ・マウンテンアンドスパ(旧新井リゾート)で、ソニー創業者の一人である森田昭夫氏の親族らが開発し、1993年に開業した。
旧新井リゾートは、豊富な降雪量により、5月のゴールデンウイークまで滑走が可能なゲレンデと、温泉施設などを拡充し続けたことで人気を博した。だが、スキー人口の減少に加えて、雪が降りすぎてゲレンデの管理ができなくなるなどして、2006年に運営会社の新井リゾートマネジメントが営業を停止した。
その後、スキー場とホテルは閉鎖状態となっていたが、2015年に妙高市による公売によって18億円で落札された。落札したのが、韓国ホテルロッテの子会社の「株式会社ホテルアンドリゾート上越妙高」で、ロッテアライリゾートとして2017年に開業。韓国ロッテホテルのブランドイメージを活かし、1人1泊4万円台など高級路線を推し進めて、これまでは海外富裕層の長期休暇の需要を取り込んできた。
ただ今年は、新型コロナウイルスの影響を受け、夏にはホテルの休館を経験し、今冬も新型コロナウイルスの影響を受けることとなってしまった。2019年に就任したエイチ・アイ・エス出身で、元ハウステンボス取締役の中谷高士氏代表取締役社長は、「今年の冬は、コロナ禍でインバウンドは期待できない。近隣県の国内需要や日帰り客を重視していく」と方向転換の意向を示す。
外資による再生
日本経済は、岩盤規制という言葉に代表されるように、既得権益者の力が強く、活力ある経済を取り戻せない状況が続く。また、大企業の組織は硬直化し、注目されるスタートアップ企業の数も海外と比べ、見劣りがすると指摘されて久しい。
「よそ者、若者、ばか者」という言葉があるように、日本で起こった変革は、しがらみにとらわれないプレーヤーによって行われてきたことが多く、この閉塞感を打破するためには、そうした人々の活躍の場が増えなければならないという指摘もある。そのプレーヤーの一つが外資といえる。
そうした中、旧新井リゾートも韓国ロッテにより復活を果たした。中谷代表取締役社長は「ロッテというブランドは、日本ではいい意味で浸透している。そのため、地域も人たちも外資に乗っ取られたという印象は持っていないと思う」と話した。
外資に詳しい関係者は、「外資などの外から買収をする企業体は、短期的な利益を追求する傾向があるほか、見切りをつけるもの早いので、気を付けなければならない側面もある。一方で、企業経営が厳しい新潟県にあって、力や知恵を借りるのは有効だ。新潟県民は保守的な気質が多いので、外の意見を入れるのは有効だと思う」と指摘している。
実際、“外の意見”が大きく変わるキッカケになった事例も県内で出ている。今年3月14日の記事で紹介した天領盃酒造(新潟県佐渡市)だ。
同社の代表取締役に就任した加登仙一氏は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券に入社して2年目に、天領盃酒造が売りに出されていることを知り、買収を決意。だが、当時24歳という若さや、取引実績がなかったことなどから金融機関が難色を示したそうだ。
その後、収支計画を何度も突き返されながらも提出し、最終的に資金の借り入れにこぎつけることができた。そして2018年3月、晴れて天領盃酒造のオーナーに就任し、さまさまな取り組みを行っている。
編集部では今後も、当たらなプレーヤーによる挑戦をお伝えしていきたい。