「ゆざわマッチボックス」株式会社Matchbox Technologiesと湯沢町が新サービス
新潟県湯沢町の産業観光部観光商工課は、株式会社Matchbox Technologies(新潟市中央区)への委託事業として「デジタル技術を活用した労働環境提供・効率化事業」を開始した。この事業は、Matchbox Technologiesが提供するプラットフォーム「ゆざわマッチボックス」を利用した企業と求職者のマッチングを行うというもので、「ゆざわマッチボックス」に企業と求職者が登録することで、マッチングが行われ、企業が求める人材と求職者が働きやすい環境を提供するというもの。
大きく分けて2つのプラットフォームに分けて、「デジタル技術を活用した労働環境提供・効率化事業」は展開される。
1つは、湯沢町の公式求人サイト「ゆざわマッチボックス」に企業が求人情報を掲載でき、働きたい人がアプリで内容を確認、応募する、ギグワークプラットフォームという手法を採用している。自治体によるギグワークサイトの開設は全国初の取り組みになる。
もう1つは、「ゆざわマッチボックス」での採用者、OBOGなど様々な人材を利用した企業が独自の人材プールに登録し、適切な配置の実現をする、ダイレクトソーシングという手法。参加した企業は自社に適した人材を登録し、働き手が必要な時に気軽に募集を掛けられるといった仕組みである。企業側からしたら、不確定で未知な人材を多用するより、作業に慣れて人格的にも適した人材の方が採用リスクは低く、求職側からしても自分のスキルで無理のない範囲で働くことができるため、双方にメリットが大きい仕組みとなっている。
今後、このダイレクトソーシングは急速に普及すると考えられていて、人材戦略の核となる仕組みとして、欧米を中心に注目を集めている仕組みだ。今後、日本は労働人口の減少、社保適用の拡大、働き手の価値観の多様化が予想され、近い将来ダイレクトソーシングという仕組みが普及していくとの予想が立てられる。
全国には約2,000万人の非正規の職に就いている人がいる。非正規の職に就いた理由でもっとも多い理由は、「自分に合った働き方をしたいから」というもので、総務省の調査で、自分の都合の良い時間に働きたいと答えた人は、2013年から2021年にかけて223万人増加している。また、同じく総務省の調査で正規の職員・従業員の仕事がないからという理由で非正規に就いた求職者は、2013年から2021年にかけて128万人減少している。これは、正規の職員の募集がないから仕方なく非正規をしているという人は減り、それよりも自分のライフスタイルに合った働き方のニーズが増えているということだ。
Matchbox Technologiesはこの仕組みが湯沢町に根付いて、企業にとっても求職者にとってもより良い労働環境になることに期待し、事業を進めているという。
株式会社Matchbox Technologiesの佐藤洋彰代表取締役社長に、今回の「ゆざわマッチボックス」を活用した事業について尋ねた。佐藤社長は「今回、行政自治体が我々に期待していることは、信頼関係が円滑に構築できるようなプラットフォームでやって欲しいとのことだった。だから、自治体に持続性のある仕組みを提供しようと思って、今回の事業を提案した。これはギグワークが普及するほど、皆さんの負担が軽減されるという仕組みになっていて、まず導入段階であまりコストがかからない。本来、こういうシステムを作ると、膨大なコストと時間が掛かるが、今回はクラウド型でシステムを提供するので初期費が安いし、法改正なんかの事態にも適応できる作りになっている」と説明した。
今後の展開について聞くと、「目先のマッチングだけではなく、どんどん実績データを貯めて、このシステムを提供することで自治体のその地域での経済活動とか求職者のニーズが見えるデータが習得できれば、その他の市町村にどんどんデータを提供していければと思っている」と話した。
また、「持続的に事業が発展していって、関わる従業員が少なからず納得するとか、自分の生活の中で幸せを感じるような環境がいいと思う。経済的合理性を担保しながらそういう環境にできるのが1番正しいと思うので、その選択肢の1つを増やすというイメージで進めている」と佐藤社長は今回の事業に対する想いを語った。
株式会社Matchbox Technologies ホームページ
(文・児玉賢太)