様々な化学製品を製造する三菱ガス化学株式会社最大の新潟工場
三菱ガス化学株式会社(東京都)の新潟工場は、クリーンエネルギーである天然ガスを利用して特色のある化学製品を製造している天然ガス系化学工場だ。同社は茨城県の鹿島工場や三重県の四日市工場など全国に工場があるが、規模的には新潟工場が一番大きいという。
管理部総務グループの清水元部長は「化学産業は、一般的には素材産業と言われ、裾野が広く様々な異なる分野の産業において利用されている。製品として見たときには透明な液体か白色粉体の場合が多いが、二次・三次の合成・加工を経て、住宅建材・電子材料・自動車用部品・包装材料・コーティング材料などに利用される」と話す。
同工場では主に、携帯電話回路基剤、健康食品などの素材や、ガスバリア性樹脂(MXナイロン)、エアゾール噴射剤(スプレー製品の噴射剤)などを製造している。
健康食品素材のピロロキノリンキノンニナトリウム塩は同社が世界に先駆けて開発した素材で、世界各国で健康食品素材として利用されており、国内ではスポーツドリンクや高齢者向けの介護用食品素材としての利用が期待されているという。
酸素を通さないガスバリア素材のMXナイロンは、食品包装材材料用途では食品を酸化から防ぐ素材として重宝されており、炭酸抜けの防止でペットボトルの材料にも採用されている。また、同じMXナイロンでも利用方法は様々あり、フィルムとして利用すると前述のガスバリア素材としての特徴、プラスティックに成型加工した場合は、自動車ドアミラーステイとして主に利用される。
その他、新潟工場では、携帯電話のカメラレンズの原料を製造するなど多種多様な製品を製造している。カメラのレンズはプラスティック製であり、屈折率を自由に変えられるため、屈折率が高いのが特徴だ。
そうした中、同社で今後成長性が期待される製品は、メタキシレンジアミンという素材だ。塗料の硬化剤(塗料と塗料を混ぜて化学反応で固まらせるもの)に使われるもので、冬が寒く、塗料が乾きにくいヨーロッパ向けの需要が大きいという。国内では安定した需要があり、海外でも伸びている製品だという。
メタキシレンジアミンはメタノールとアンモニアを原材料として製造される。従来は天然ガスを原料として、メタノールやアンモニアを同社新潟工場で製造していたが、現在はどちらもサウジアラビアなどの海外合弁会社などから輸入している。
今後の展開について、新潟工場から海外合弁工場などを支援できる人材を継続的に育てており、人的なインフラが整っていること、天然ガスを利用した蒸気・電力などのユーティリティーが整っている事から、清水元管理部長は「当社が新規事業を行う際に、新潟工場が選択される基盤を整えておきたい。新潟工場でないとできないことをやりたい」と話していた。