コジマタケヒロのアルビ日記2022 Vo.11藤原奏哉「磨きのかかる堅実性」
4月23日に行われた、第11節・長崎戦(H/○2ー1)といえば、どんなシーンを思い起こしますか?
途中交代で入った本間至恩選手がすぐさま高木善朗選手のゴールを演出したシーン?
はたまた、その高木善朗選手がゴール後の喜びをサポーターに伝えようと看板を飛び越えようとするも、激突してしまったシーン?
高木選手がぶつかってしまった看板の位置を島田譲選手が直すシーン?
個人的には、長崎に先制を許してから5分後のコーナーキック。藤原奏哉選手がつぶれながらも相手ゴールへ同点となるヘディングシュートを決めたシーンが最も印象に残っている。
後日、「らしくない、泥臭いゴールでしたね?」と尋ねると、少し笑みを浮かべつつ、「負けていたし、どういう形であれ、点を取らないといけない状況でしたからね。気持ちが出たゴールだと思います」と話していた藤原選手。
2021年、新潟に加入。ボランチからコンバートされ、右サイドバックとして全40試合に出場。今季もここまで25試合に出場している。そんな藤原選手の魅力は、サイドを上下動するだけではなく、インサイドに入っての組み立て参加や高精度のクロスと攻撃面での貢献ももちろん大きい。しかし、個人的にすごいと感じるのは、何よりも守備。体の使い方、相手との間合い、ボール奪取能力……。昨季もすごいと感じたが、今季はより磨きがかかっているように思えてならない。
「いい試合をしているのに負けたり、引き分けたりするというのは当たり前ですが、悔しいです。うちのピンチを減らしていくには僕はどうプレーしたらいいのか、と考えた結果、去年から、専門機関に自分のプレーの分析をお願いするようになりました。この分析と修正の積み重ねが守備の安定感につながっているのかなと思います。具体的には、一試合通して、攻撃も守備も、僕のプレーで気になったところを指摘してもらって、相手チームのやろうとしていたことを考慮しつつ、対応策や打開策を常に考えるという流れになります。もちろん、うちのチーム内でも分析は行っているので、僕の行っている分析はあくまでも個人戦術面でアドバイスしてもらっているという感じです。とにかく僕のところから、同じようなパターンで失点されたくないんです。最近特に気をつけているのは、スピードに乗った相手がペナルティーエリアに入ってくるときの対応。距離の詰め方、シュートまでいかにいかせないようにするかを常に意識してプレーしています」。
そして、ボランチ時代と比較して、変わったことがもうひとつ。
「試合中に周りの選手の声を聞くようになりました。相手のやってくる確率が高いプレーを切るために、僕だけではない視点を入れるために。ボランチのときは、ポジション柄より広くピッチを見ていたから、どちらかといえば声を聞くよりも、出すのが役割でした。その経験があるから、ですかね(笑)。サイドバックをやっていて、楽しいかって?楽しいですよ、もちろん。相手がプレスにきて、うまくはがせたときとか難しい状況で守備がうまく成功したときは、特に楽しいですよ」。
J2リーグは後半戦を迎え、各チームとも今季2回目の対戦が始まっている。戦いを終えるごとにブラッシュアップされていく、藤原選手のサッカー理解度。
攻守に渡る堅実性は、今後ますます高まる。