新潟市内で「忘れるな拉致 県民集会」が開催
「忘れるな拉致県民集会」が15日、新潟市民芸術文化会館「りゅーとぴあ」劇場で行われた。来賓として内閣官房長官兼拉致問題担当大臣の加藤勝信氏も参加した。主催は、新潟県、新潟市、新潟日報社。
14時、今年6月5日にこの世を去った横田滋さん(横田めぐみさんの父)を思い黙祷を捧げ集会が始まった。
その後、挨拶に立った新潟日報社の小田敏三代表取締役社長は、「拉致問題は絶対に風化させてはいけない国家問題だ。今回の県民集会は会場にくることができない人に向けてライブ配信もしている。1人でも多くの人、特に若い人にも拉致問題を自分ごとのように考えていただくキッカケになってほしい」と話した。
続いて挨拶に立った新潟県の花角英世知事は、「今年もこうした集会を無事開催できて本当に良かった。拉致問題について、国民一人一人が真剣に考えることが、政府の後押しに繋がる。こうした問題を絶対に風化させることがないよう、今後も問題解決に向けて取り組んでいきたい。」と話した。
また新潟市の中原八一市長は、「北朝鮮のコロナの状況がわからない中、まだ北朝鮮に取り残されている被害者の方が、無事でいるのか本当に不安でたまらない。『絶対に拉致問題を解決するぞ』という切なる思いを、菅総理は受け止めてくれると信じている。」と話した。
現在の北朝鮮情勢と拉致問題
会では、東京国際大学国際戦略研究所教授の伊豆見元教授が「北朝鮮情勢と拉致問題」をテーマに基調講演。「今の北朝鮮は三重苦の中にある。一つ目はアメリカからの経済制裁。二つ目は、コロナウイルスによる中国との貿易縮小。三つ目は、3つの大型の台風の直撃だ。こうした影響で、家屋の倒壊や農作物被害が深刻となり、国民生活も困窮していると予想される。今後北朝鮮は、アメリカとの関係改善に乗り出すと考えられる。米朝関係が改善したら、そこから日本にも目が向くようになるだろう。北朝鮮に対する日本の外交カードは、経済的援助や物質的援助だが、今はそれが効果的に作用する。この外交カードをテコに、拉致問題解決に向けて取り組んでいくのが良いのではないか」と話した。
「拉致問題解決に向けて強い思いを持って取り組んでほしい」
43年前のこの日(昭和52年11月15日)に拉致被害にあった横田めぐみさん(当時中学校1年生)の家族や、特定失踪者(北朝鮮に拉致された疑いを否定できない失踪者)の家族も登壇し、拉致問題への思いを訴えた。
横田めぐみさんの母親である、横田早紀江さんはビデオメッセージにて、「旦那の横田滋(横田めぐみさんの父親、享年87歳)は『国家の問題として拉致被害者を絶対に助け出さなければいけない』という強い思いで、最後まで頑張っておりましたが、6月5日にこの世を去りました。ここまで色々な方にご支援いただきやってこれました。拉致問題は未だに解決はしていませんが、前安倍総理も本当によく頑張って頂きました。これからは、支えて下さった皆様にも恩返しをしていけたらと思っています。良い形で日朝関係を築き、拉致問題を解決できる日を願っています」と話した。
横田めぐみさんの兄である、横田哲也さんは、父親の死去について話した後、「私が拉致被害者を取り戻したいと、どんなに願ったところで、実際に動けるのは私ではなく日本政府です。拉致被害者たちは遠い地で生き抜くために、一日一日歯を食いしばって生きていると思います。稚拙な表現で申し訳ないのですが、どうか日本政府には頑張ってほしいと思います」と話した。
未だに母親のミヨシさんが帰国を果たしておらず、18年前に帰国をした、拉致被害者の曽我ひとみさんは、「今年に入ってから、横田めぐみさんのお父様である横田滋さんがお亡くなりになりました。皆様は本当本当に長い間、大切なご家族に会いたいという一心で活動しておりました。思いが報われずこの世を去ったこと事実に本当に心が痛みます。また、未だに帰れぬ母の事を思うと本当に切ないです。母と抱き合うその日まで一生懸命頑張っていきます」と述べた。
他にも特定失踪者の大沢孝治さんの兄である、大澤昭一さんや、中村三奈子さんの母である中村クニさんが、拉致被害者家族としての胸の内を訴えた。