東北電力株式会社など6社が協力し仮想発電所の新たな試みをスタート

仮想発電所のイメージ。東北電力は画像下の「アグリゲーター」の役割を担う

東北電力株式会社、日産自動車株式会社、三井物産株式会社、三菱地所株式会社、リコージャパン株式会社、エフィシエント株式会社の6社が共同し、分散型エネルギーリソースや電気自動車などの蓄電池を活用する実証プロジェクト「VPP構築実証事業」の新たな試みを開始した。

現代人の生活に不可欠な電力の需給バランスは「同時同量」、つまり、供給と需要が同じ時に同じ量になっていっていないと、電気の品質(周波数)が乱れ、電気の供給を正常におこなうことができなくなってしまうという。だが電気は大規模に貯めることができない性質を持っているため、必要になった電力を常に生産・供給しなければならない。

そこで電力会社は、あらかじめ予測される需要(電力消費)に応じて作成した発電計画をベースに、刻々と変動する電力需給に合わせて発電量を変え、供給する電力量を需要と常に一致させ続けている。

しかし、風力や太陽光発電など近年増えつつある再生可能エネルギーは、天候や時間帯などによって発電量が変動し、電気の生産・供給が一定せず課題となっている。

こうした中で注目を集めているのが「VPP(Virtual Power Plant・仮想発電所)」だ。VPPとは、(自治体、企業、一般家庭などが保有している)発電設備や蓄電池、電気自動車など地域に分散しているエネルギーリソースをIoTなどの情報技術を用いて遠隔制御し集約することで、あたかも一つの発電所のように機能させること。

電気自動車などにより蓄電し、電気の需要と供給のバランスを保つ

東北電力など5社は2018年4月より、「VPP構築実証事業」を開始しており、2019年度には、仙台市泉区の仙台ロイヤルパークホテル、仙台市宮城野区の仙台うみの杜水族館隣接駐車場、リコージャパン仙台東事業所と郡山事業所の駐車場に充放電スタンドとカーシェアリング用電気自動車を設置し、これらの同時遠隔制御と電力供給バランスの調整機能の正確性を検証した。

今年度(11月16日から2021年3月31日)は新たに、小売電力事業で知見を持つエフィシエントが加わり、定置型蓄電池や電気自動車の蓄電池など複数のリソースの制御について実証する。東北電力は現段階ではVPPの事業化の見通しは無いが、来年度以降もこうした実証を重ねてVPPに対する知見やノウハウを蓄積し、新たなビジネスモデルやサービスの開発に向けて検討していくという。

なお実証プロジェクトにおいての各社の主な役割は、日産自動車が電気自動車の蓄電池残量や走行データなどの収集と分析や、カーシェアリング事業の運営。三井物産と三菱地所、リコージャパンが実証場所の提供や電気自動車の活用可能性の検討。エフィシエントと東北電力がVPPにおけるエネルギーリソースの遠隔制御と集約を行う「アグリゲーター」となっている。

 

【関連リンク】
東北電力webサイト 「東北電力のVPP(仮想発電所)事業について」

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