移動式住居・店舗で、ウィズコロナにあった生活様式や災害時の避難体制の構築を目指す(株)SOILTECの庭山愛子さん
建設会社の株式会社SOILTEC(新潟県阿賀野市、ソイルテック)は、モービルホーム(移動可能な家・店舗、トレーラーハウス)のデザイン・設計・製造・販売を一貫して手がける株式会社カンバーランド・ジャパン(長野市)と今年1月、販売・設置・輸送に関する代理店契約を締結し、今年9月から本格的に活動を始めた。
「個人的にトレーラーハウスに興味があって昨年、たまたま見つけたのがきっかけです」。ソイルテック経営企画室長の庭山愛子さんは、今年1月にカンバーランド・ジャパンと代理店契約を締結し、新潟県と山形県で販売などを行うことになったいきさつについて、こう話す。その後、子育てなど多忙な日々を送っていた(2児のママでもある)が、ひと段落したことから今年9月に本格始動した。
モービルホーム(トレーラーハウス)は、欧米においては、「家」の代わりとなる車(キャンピングカー)として活用されたり、災害発生時には避難所として活用されたりしている。日本でも最近、店舗・住居のほか、災害発生時の活用も増えてきているという。
被災地初のトレーラーハウス宿泊村でも活用
一方、カンバーランド・ジャパンはトレーラーハウスで、国内有数の納品(約2,500台、被災地230台)を誇っている。防音、防熱で、快適性が高くなっていることが特徴で、サイズは最大で幅3.4×長さ12メートル。住居、店舗、宿泊施設、被災者住宅、入浴施設など様々な形で活用されている。
価格は300〜1,000万円で、年単位でのレンタルや、120回までのローンも可能だ。
例えば「グランデ」という商品名の住居タイプ(11×3.4メートル)は730万円(税別、インテリアはオプションとなる)。
また「カタリナ」という商品名の店舗タイプは数タイプあり、長さ5×幅2.4が428万円(税別)、長さ11×幅3.4が568万円(税別)などとなっている。
住居タイプは、居住していた人が亡くなったとしても、空き家にはならず、中古市場に売り出すことができる(ちなみに中古は人気が高く、納品待ちの状況)。
住居タイプは、通常の店舗としてだけでなく、お試しショップ、過疎地の買い物難民とされる人向けの簡易スーパーや遠隔診療所など様々な形での利用が考えられる。
このほか、東日本大震災や、熊本豪雨の時には仮設住宅として活用されたほか、新潟県の中越沖地震の時には商店街復興のための店舗に使われたこともある。「宮城・女川では、仮設住宅として使われ、その後、住宅として活用する人や、被災地初のトレーラーハウス宿泊村『El faro』に活用されています」(同)。
なおトレーラーハウスには車輪がついていて、カンバーランド・ジャパンの工場から牽引車で運び、簡単に設置ができる。
来春、新潟市北区に展示ルームを開設
本格的に始動した庭山さんは来年2月以降、新潟市北区に、展示ルームを開設する計画だ。まずは店舗タイプを設置し、その後、住居タイプを設置したいという。なお、県内でもすでに活用している店舗はあり、場所に関しては「お問い合わせをいただきたい」(同)と話す。
また、今年10月には、新潟県の「アフターコロナを見据えたイノベーション創出支援事業」に採択されていて、この事業や展示場などを活用し、新しい生活様式の住居・店舗として普及を図っていく。
さらに、トレーラーハウスを普及させていく一方、万が一の災害時には迅速に避難所として活用できる体制作りも進めていく計画。そのために、地元市町村などとの間で、防災連携協定を締結していきたいという。