新潟県のフォッサマグナの断層と6件の建築物が新たに天然記念物と有形文化財に登録
新潟県糸魚川市のフォッサマグナの断層が天然記念物に
国の文化審議会が11月20日に開催され、新潟県糸魚川市に所在する「糸魚川市根知の糸魚川ー静岡構造線」を天然記念物に指定し、県内に所在する6件の建造物を国の登録有形文化財に登録されるよう文部科学省大臣に答申した。登録は、答申後に行われる官報報告をもって正式決定となり、県内の国指定天然記念物(特別天然記念物および名勝との重複指定を含む)は40件、登録有形文化財(建造物)は527件になる。
今回、新たに登録有形文化財(新潟県内分)となる6件は以下の通り。
・建築物、宗教 日本基督教団燕教会 (燕市)
・建築物、産業3次 環翠楼臨泉閣 (阿賀野市)
・建築物、産業3次 環翠楼中広間 (阿賀野市)
・建築物、産業3次 長谷川家住宅双子蔵 (新発田市)
・建築物、宗教 淡島神社拝殿 (胎内市)
・建築物、住宅 ときや土蔵 (胎内市)
糸魚川市根知の糸魚川ー静岡構造線
糸魚川ー静岡構造線は、新潟県糸魚川市から静岡県静岡市に至る長さ約250キロメートルに及ぶ明瞭な断層帯。日本列島を東日本と西日本に二分する大断層で、断層を境に西側が比較的古い時代の地層体、東側が新第三紀や第四紀の若い時代の地層体となる。
断層の東側の地域は、ドイツの地質学者H・E・ナウマンにより「フォッサマグナ」と呼ばれた地域で、およそ1,500万年前に日本列島がアジア大陸から分離し日本海拡大時に形成された凹地である。この凹地に海水が侵入して日本海と太平洋が繋がり、その後の火山活動に伴う数千メートルの厚い噴出物および堆積物が埋積している。
糸魚川市根知では幅10メートル以上の良好な断層露頭が確認でき、古生代ペルム紀の舞鶴帯に帰属する変はんれい岩、砂岩・泥岩、と新生代新第三紀中新世の安山岩や砂岩が接する。東西両側の形成年代差は2億年以上で、糸魚川ー静岡構造線の中で最大となる。
以上のように、東北日本と西南日本を画する第一級の断層であり、学術上良好に保存された断層である。
【糸魚川ー静岡構造線を見学できる「フォッサマグナパーク」】
【糸魚川ー静岡構造線にもほど近い「フォッサマグナミュージアム」】
県内6件の建築物が新たに有形文化財に
日本基督教団燕教会
金物問屋、久保田重松商店の久保田重松氏が、1930年に私財を投じて建築した木造教会堂。1階を保育園、2階を礼拝堂とし、燕におけるキリスト教の伝道に寄与するとともに、保育園は地域の金属加工業従事者を支えた。一時期には取り壊しの案も出ていたが、同教会の牧師らの活動により補修や調査が進み、建造当時の姿が維持されている。
環翠楼臨泉閣と環翠楼中広間
新潟平野山間部の村杉温泉に所在する。臨泉閣は明治後期の建築で二階建て入母屋造り桟瓦葺きで1階2階ともに8畳座敷2室からなり、三方をガラス戸を立てて庭を望む。中広間は昭和43年の建造で、平屋建て寄棟造りの建造物。
長谷川家住宅双子蔵
明治中期に建築された、二階建て切妻造りで桟瓦葺きの建築物。二棟の土蔵全体を大きな置屋根の覆屋で覆う、特徴的な外観が地域の景観を形成している。
淡島神社拝殿
近代に開かれた花街の神社拝殿。入母屋造り桟瓦葺き向拝がつく。向拝虹梁の周りは波形の渦紋や木鼻に獏をつけ龍の彫刻を載せるなど意匠を凝らしている。
ときや土蔵
四段掛け子塗りの開き戸や、白と黒の漆喰で塗り分けられた窓庇を鶴の鏝絵つき持送で受けるなど、開口回りに意匠を凝らした旅館の土蔵。
【日本基督教団燕教会】
【環翠楼】
【淡島神社拝殿】
【ときや旅館】
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