新潟県中越地震で注目を浴びた携帯用浄水器が、コロナ禍やゴミ削減の観点から再び売り上げを伸ばす
新潟県見附市のアオレイル株式会社と三条市のコデラカプロン株式会社が販売する「携帯浄水器CuWater(コデラカプロンでは「モバイル型浄水器カッパー君」として発売)」が現在、脱プラスチック問題への関心の高まりと新型コロナウイルスによる衛生意識の変化により、売り上げが急増している。
「携帯浄水器CuWater」は内蔵した繊維状の銅の作用により、水道水に含まれる残留塩素の除去や殺菌が可能な携帯浄水器。2リットルの水道水あたり10分から20分ほどで塩素の除去が可能である。また、2リットルペットボトル用の商品1つで、1,000リットル分まで再利用可能なため、飲用水の購入やウォーターサーバーの利用よりも出費を抑えることができるという。
2004年の中越地震の際、避難所などでは給水車により飲料水が支給されたが、給水車の水は通常の水道水よりも塩素濃度が高いことからカルキ臭が強く、特に赤子などが水を飲みにくいことが問題となった。そのため、県はコデラカプロンに同携帯用浄水器200本の提供を依頼。翌年2005年には、新規性が高く優れた商品を提供する県内事業者を知事が認定する「Made in 新潟 新商品調達制度」の第1号として認定されている。
10年以上前の震災で注目を浴びた商品は、近年再び売り上げを伸ばしている。水道水を使わずペットボトルの飲料用水を買う層が増えている一方で、プラスチックゴミ削減への関心が高まっていることから、ゴミ削減の観点から環境を意識するユーザーが増加しているようだ。
また、コロナ禍に伴い衛生意識が変化したことや、外出自粛の影響により買い物へ行くことができなくなったことも影響し、「携帯浄水器CuWater」はアオレイルの4月決算時点で8,000万円の売り上げを計上している。元々ネットでの販売が主軸であったことから販売は全国に拡大しており、特に食品を取り扱う企業や団体からの注文が多いという。
アオレイルでは一般向けの製品以外でも、銅の殺菌作用を利用した医療用ガウンなどの販売も行っており、こちらの売り上げも好調だ。アオレイルの平井純一代表取締役は「今後は、ポリエステルやタオル地などにも銅繊維を縒り合わせた生地を開発することで、おしぼりから衣服に至る広範囲の商品を展開していきたい」と語った。
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