「THE EXPO ~百年の計~in新潟」が新潟市内で開催(後編)
敵は同業ではなく時代
「100年を超える“長寿企業”に学ぶ事業承継の秘訣」をテーマにした「THE EXPO ~百年の計~in新潟」が16日、新潟市内で開催された。主催は、百年の計実行委員会(赤池学実行委員長)、共催は、(一社)レジリエンスジャパン推進協議会。特別協賛は、株式会社ボルテックス。
第2部は、県内の100年企業経営者によるパネルディスカッション。マルソー株式会社(総合物流業、創業105年)の渡邉雅之代表取締役社長、株式会社百花園(和菓子・洋菓子製造販売、創業136年)の太田等代表取締役社長、株式会社きっかわ(鮭加工品の製造販売・鮭料理専門店運営、創業392年)の吉川真嗣代表取締役社長が登壇した。
質問項目は、「創業からの歩み」「伝統と革新」「逆境や苦難」「人材育成」「事業承継」「経営戦略」。伝統に関して、吉川氏は「発酵と熟成」「地域とのかかわり」をあげていた。このうち地域とのかかわりについては、「祖父が消防団長、父が地域文化の復興、自身が古い町並みの保全とそれを活かした活性化に取り組むなど地域とともに歩んできた」と語っていた。渡邊氏は、「若い時に社長を引き継ぐ」という社内の慣習について紹介していた。自身も平成16年に34歳で社長に就任したそうだ。
事業承継人ついて、吉川氏は、「1日でもいいから、子供に一生懸命働いている姿を見せることが大事」と語っていた。また、太田氏は「子供がある交流会で『会社を調べてみなさい』と言われ、(祖父に)聞き取り調査を行った」という逸話を紹介していた。
今後の経営戦略について、吉川氏は、デジカメの出現にともないフィルムメーカーから商品メーカーに変貌を遂げたメーカーを例に出しながら、「敵は同業ではなく時代である」と語っていた。「鮭の不漁でも会社が成り立つようにしないといけない。発酵と熟成の技を活かして、(鮭商品に次ぐ)もう一つの柱を育てる」(吉川氏)。太田氏は、「3年前に始めた和菓子のケータリングを強化する」と語っていた。「(和菓子の空間を演出する)ケータリングは、和の世界を味わえる。将来はインバウンド向けにも力を入れていきたい」(太田氏)。渡邉氏は、ドローンや無人運転などを念頭に、「異業種への進出に注力している」と語っていた。「M&Aを始めたが、今後も進めていく」(渡邉氏)
このほか、「家族以上に接する時間が長いトラックに対し、子供に名前を付けるように固有名詞をつけたら事故が激減した」(渡邊氏)、「30年前、資金的な苦境に陥った時に、消防団をはじめ地域の人々が助けてくれた。利益ばかり求めて地域貢献がない会社は消えていく」(吉川氏)などと話していた。