一正蒲鉾株式会社(新潟市東区)が2022年6月期決算(連結)を発表、資源価格高騰などにより減収減益
一正蒲鉾株式会社(新潟市東区)は5日、2022年6月期決算(2021年7月1日から2022年6月30日)を発表した。
売上高は316億3,600万円(前年同期は346億8,900万円)、営業利益は5億4,500万円(前年同期比△68.5%減)、経常利益は6億2,300万円(同△65.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億6,500万円(同△78.9%減)だった。
すり身をはじめとした原材料、原油などの資源価格は、世界経済の回復基調、ウクライナ情勢、急激な円安の進行などにより高騰し、また、慢性化しつつある人手不足による人件費の増加など、さまざまなコストが想定を超えて大幅に上昇した。不安定な社会経済情勢の中でこれらの価格はさらに上昇するおそれもあり、一正蒲鉾グループを取り巻く経営環境はより一層厳しさを増している。
セグメント別の状況は以下のとおり。
水産練製品・惣菜事業
健康志向の高まりが続いているなかで、主力商品群のカニかまは魚肉たんぱくが手軽に摂れる食材として多くの支持を集めている。なかでも、期間限定商品「サラダスティック枝豆風味」は、夏のおつまみとして、また、食べ応えのある「大ぶりカニかま」やそのリニューアル商品の「ガブリッチ 魅惑のカニかま」 は、晴れの日の食卓シーンの主役として好評を博した。
海外向けには常温商品のカニかま「SeaSalad(シーサラダ)」を開発し、アジア各国で試験販売をしており、中東方面にも輸出先を拡大している。加えて、年末のおせち商品は、主原料や副材料のすべてが国産の「純」シリーズの蒲鉾や伊達巻が伸長したが、売上に関しては、収益認識会計基準等の適用および2021年5月の連結子会社マルス蒲鉾工業株式会社の清算などの減少影響があった。
また、製造コストに関しては、主原料であるすり身価格の国際相場の高騰が続いてる。これは、健康志向の高まりや新興国の経済成長による世界的なすり身需要の増加、ロシアへのウクライナ侵攻に対する経済制裁により、ヨーロッパ諸国がスケトウダラ製品の輸入をロシアからアメリカへシフトしたことも背景となっている。
また、エネルギー価格は原油価格の代表的な指標の一つであるWTIが100ドル前後で推移するなど、新型コロナウイルスからの世界経済の回復やウクライナ情勢を要因として高止まりの傾向を示している。さらには穀物などの需要拡大や主要産地の天候不順等による度重なる食油の値上げ、急激な円安の進行も重なりさまざまなコストの上昇が続いてる。
こうした状況から、一正蒲鉾は水産練製品、惣菜類について2022年3月1日出荷分より約5%から15%の価格改定を行ったが、当期における利益効果は限定的だった。
以上の結果、水産練製品・惣菜事業の売上高は271億700万円、セグメント利益(営業利益)は4,600万円(前連結会計年度は9億2,400万円のセグメント利益(営業利益))となった。
きのこ事業
全般的に野菜の生育は順調に推移し、一部の野菜の品薄もあり秋以降の野菜の市場価格は前年を上回ったが、きのこの市場価格に関しては、消費の伸び悩みと他社の増産の影響もあり、供給過多状態により軟調に推移した。
そのような市場環境のなか、生産面においては、安定栽培や生産の効率化、品質管理体制の強化に努めるとともに、販売面においては、大容量商品や新発売の「希なり」の提案・販売強化を行った。
以上の結果、きのこ事業の売上高は40億3,700万円、セグメント利益(営業利益)は4億6,100万円(前連結会計年度は7億3,200万円のセグメント利益(営業利益))となった。
その他
運送事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で国内需要が低迷し消費全体が足踏み状態にあるなか、主に気象影響による輸入青果物の取扱数量の減少に加え、設備投資に伴う減価償却費の増加および燃料価格高騰により、売上高、利益ともに前期を下回る結果となった。
倉庫事業においては、売上高は前期を若干下回ったが、保管効率の改善へ向けた取組強化により、利益は前期を上回る結果となった。
以上の結果、報告セグメントに含まれないその他の売上高は4億9,100万円、セグメント利益(営業利益)は2,700万円(前連結会計年度は6,400万円のセグメント利益(営業利益))となった。