新潟県上越市の魚住かまぼこ店が全国初の「飲むかまぼこ」を発売
口福の店 魚住かまぼこ店(新潟県上越市)は14日、飲むかまぼこ「かまナイス」の新商品発表会を上越市内で開いた。15日から魚住かまぼこ店のみで発売する。飲むかまぼこの商品化は全国発という。
発表会には、上越市内の取引先や上越市社会福祉協議会、上越市内の保育園の関係者30人ほどが出席した。
かまナイスは、魚住かまぼこ店の田村博店主の発案より商品開発に乗り出したが、発売までに紆余曲折があり、6年半の年月がかかったという。
魚のすり身のタンパク質と、上越市安塚区の雪室で貯蔵した野菜を混ぜ込んだ液体状のもので、ポタージュのような味わい。雪室とは、新潟県上越地域に伝わる「天然の冷蔵庫」で、冬の間に降り積もった雪で山を作り、夏まで貯蔵して活用する雪国ならではの知恵だ。
商品はかぼちゃ、たまねぎ、じゃがいも、にんじんの4種類の味があり、ひとつで60カロリー摂取できるのが特徴。さらに、従来品より3分の1減塩しているほか、アミノ酸、砂糖、保存料を使用しておらず、ヘルシーな食品となっている。
商品名のかまナイスは、「噛まない」と「ナイス」を組み合させた造語で、田村店主が考案した。冷たいまま飲んだり、スプーンで食べたりするほか、発表会では、レンジで温める方法や、高齢者向けではおかゆにかける方法も紹介された。
発表会後、試食会が行われ、会場からは「ショートステイから帰ってくる母親に食べさせたい」、「離乳食にもいいのではないか」という意見が出たほか、上越市社会福祉協議会の職員からは「老人施設の栄養士に評判がよく、レシピを考えたい」という声も上がっていた。
事前予約が必要となるが、老人介護施設や保育園・幼稚園などの業務用として、1キロ、2キロ、3キロの袋詰めも販売する。
なお、上越市の私立上越高校生徒と、上越教育大学学生の協力で、レシピ集を作成しており、来年3月にレシピ集の発表会を予定している。
田村店主は「日本を代表するかまぼこ会社が以前、飲むかまぼこの商品化を試みたが、成功しなかった。大企業でもできないので当社も無理かと諦めかけた。しかし、みんなで頑張り続けて数年前に実現可能なところまでこぎつけ、今年の春から本格的に商品化に挑戦してきた。この商品により、かまぼこは切るもの、噛むものから飲むものへとイメージが変わり、新しい時代になる」と話した。
魚住かまぼこ店の小峰浩統轄工場長は「飲むだけで当社のかまぼこの半分のカロリーが取れる。そしゃくや飲み込みが困難な老人施設で使ってもらえると思う。魚と野菜本来の味が楽しめるはず」と話していた。