INSIGHT LAB(株)が新潟大学と「越後データプラットフォーム」を共同研究。研究過程で新潟市民アプリ「ガタリコ」をプレリリース
ビックデータを取り扱うINSIGHT LAB株式会社(インサイトラボ 、東京都新宿区)は、新潟大学と共同で新潟県内の公開情報を集積する「越後データプラットフォーム」の共同研究を進めている。新潟県内の警察や自治体、行政などの様々な形で公表される情報を、1つのデータ形式に統合し集積する。
例えば、各市町村で出されるゴミ収集カレンダーは、紙で周知されることがほとんどだが、インサイトラボではこうした紙情報を、プログラミング技術などを用いて、活用しやすい形式のデータに変換し蓄積する。ほかにも、ネット上で公開されているデータを自動で収集する「スクレイピング」という技術を用い、新潟に関する様々なデータを効率よく集める。
こうした仕組みにより、新潟独自のデータの集合体を作り上げるというのが、この取り組みの概略で、このプラットフォームをデータサイエンティスト育成、AIを使ったデータ研究に活かすなどをして、新潟経済をデータの側面から盛り上げていくという。
ただ、データを蓄積しているだけでは、ユーザー側がデータの利用シーンがわからないといった問題も発生する。この問題を少しでも解消し、データの利用法が一般ユーザーでも想起しやすくなるように、インサイトラボでは蓄積されたデータを活用し、保育園の空き時間の可視化を行ったり、小学生のお子様を持つ主婦向けのアプリ『ガタリコ』を試験的にリリースするなどの取り組みを行っている。
インサイトラボ代表取締役の遠山功氏は、越後データプラットフォームについてこう語る。
「私は本プロジェクトを通して、新潟に『データを活用する文化』を作りたいと思っています。『データを利用すれば、こんなに便利なんだ』と色々なユーザーが思ってくれれば、様々な面でデータ活用が進み、データによって住みやすい新潟ができるのではないかと期待しています」
続けてこう話す。「実際にデータ活用が有用だということが、世間で広く認知されれば、同時にその周りを取り巻く環境、ひいては行政や自治体も、よりデータ活用をしやすい形で情報発信をしてくれる可能性が高まります。すると様々な企業は、さらにそういったデータを活用し、多くのサービスを生み出します。そこで多くの企業間で良い形での競争が発生すれば、どんどんと社会が良くなっていくのではないかと考えています」
また、インサイトラボ新潟研究開発センターの新里龍也氏によると、作成したアプリ『ガタリコ』は市民に向けて開発していたものだが、どちらかというと、企業や行政に対しての働きかけという側面が大きいという。
「情報化社会と言われる現代で、情報に遅れをとってしまう人はどうしても出てきますが、SDGs(持続可能な社会)的発想で、こうした情報格差を均整化するというは我々エンジニアの1つの役割だと思っています。こうした流れが様々な企業や行政にまで広がって、『情報に取り残されない社会』のようなものを社会全体に定義していけたらと考えています」(新里氏)
実際に情報格差は身近の至る所に存在する。例えば、行政がホームページで発表している子育てイベントに関する情報を、全く知らないという人も少なくない。ガタリコは、こうした情報格差を少しでも是正できるように、これからも改良を続けていくという。
*
近年、様々な業界でデータの重要性が叫ばれている。しかしその一方で、実際にすぐに活用できる状態のデータというものは案外に少ない。インサイトラボと新潟大学は今後、「越後データプラットフォーム」によって、新潟県にどのような未来を創るのか注目だ。
【関連記事】
起業家育成のため、あえて大学生にブース出展を任せたINSIGHT LAB株式会社