新潟経済同友会が「新潟奉行所」復元の検討報告書を中原八一市長へ提出
新潟経済同友会は21日、「新潟奉行所」の復元および観光資源としての位置に関しての検討報告書を新潟市の中原八一市長へ提出した。
「新潟奉行所」は、1655年に置かれた長岡藩新潟代官所を起源とする奉行所であり、現在のNEXT21、新潟三越が建つ場所に存在した。奉行所は江戸幕府以後も、新潟県の誕生とともに県庁や新潟市役所へと姿を変えながら、長年新潟の行政の中心地としてあり続けた。
提出にあたって、新潟経済同友会の吉田至夫代表幹事(株式会社新潟クボタ、代表取締役社長)、中山輝也特別幹事(株式会社キタック、代表取締役社長)、及川紀久雄新潟奉行所復元検討委員会委員長、遠藤良博新潟奉行所復元検討委員会事務局長、髙橋秀之幹事兼観光推進委員会委員長(新潟ベンチャーキャピタル株式会社、取締役会長)、藤澤成専務理事兼事務局長が出席。中原市長へ、復元場所検討の経緯や、観光資源として期待を説明した。
「新潟奉行所」を観光資源として復活させる計画が始まったのは2017年。復元場所については9ヶ所の候補が検討され、現在最も有力となっているのは、白山公園内の新潟市庁舎第2分館跡地。白山公園周辺は燕喜館(旧・斎藤家住宅)、新潟県政記念館(旧・新潟県議会議事堂)といった歴史的建造物が存在し、現在も新潟市の行政の中心となっていることなどからも、「歴史的に価値観が合致する場所」として最適候補になったという。
新潟市は長岡市や上越市といった城下町とは異なり城跡などが存在しない点からも、奉行所が観光の目玉となることが期待されている。中山特別幹事は「この計画が立ち消えにならないよう、新潟商工会議所とも話をしたり、市民組織を作っていき、今後は概略設計の工程まで行きたい」と積極的な姿勢を示した。
中原市長は「新潟市に江戸幕府直轄の奉行所があったことを知る人は少ない。市でも、市民が自分が住む土地の歴史を知ることで愛着を持ってもらう取り組みを進めており、古町エリアの“まちづくり推進会議”や市役所内部でも奉行所復元の話題を共有していきたい。白山公園は市の私有物であるため、奉行所復元への市民の機運を高めていくことが重要だと思う」と話した。
【有力候補地となっている白山公園と新潟市役所周辺】