新潟大学旭町キャンパス(新潟市中央区)で、入院する子どもの付き添い家族のための滞在施設「ドナルド・マクドナルド・ハウスにいがた」の開所式
新潟大学および公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン(DMHC)は30日、新潟大学の病院地区構内(旭町キャンパス、新潟市中央区)で、「ドナルド・マクドナルド・ハウスにいがた(にいがたハウス)」の開所式を開催した。「にいがたハウス」は、病気の子どもと付き添う家族のための滞在施設で、10月1日の利用開始を予定している。
現在、全国で難病に苦しむ子どもの数は推計14万人と言われている。このような子どもたちは、大学病院などの設備・スタッフの揃った専門病院で治療を受けることが多いが、基本的に家族の宿泊が認められていないため、家族は病院に寝泊まりすることはできない。そのため、多くの家族はアパートを借りたり、ホテルに泊まらなければならず、経済的・精神的な負担を強いられている。
「ドナルド・マクドナルド・ハウス」は「わが家のようにくつろげる第二の家」をコンセプトに、こうした家族の経済的・精神的負担を軽減し、安らげる場所を提供することを目的として設置されている。ハウスは、多数のボランティアの協力を受け、常勤のハウスマネージャーによって運営。2022年8月現在、世界45の国と地域に379か所に開設されており、国内では(今回の「にいがたハウス」を除き)11か所運営されている。ハウスの運営費はすべて個人や企業からの募金、寄付でまかなわれており、利用家族は1人1日1,000円で滞在することができる。
「にいがたハウス」には、自炊ができる共用のキッチン、ダイニングルーム、リビングルーム、ランドリールームや、プライバシーに配慮されたベッドルームなどが設置されており、不自由なく滞在できるように整備されている。また、用意されている10室(各室に大人用ベッド2台・ベビーベッドの用意有)には、あえてテレビが設置されておらず、これは家族間のコミュニケーションを優先して欲しいという配慮だという(共有スペースには設置されている)。
「にいがたハウス」は、国内12号目かつ、日本海側では初となるハウスで、新潟大学の要請を受け、新潟大学とDMHCが共同で新設した。設立には新潟県・新潟市も全面協力したほか、建設費用の寄付・募金活動には、2000人(法人含む)を超える寄付者からの支援が集まったという。
開所式では来賓として、新潟県の花角英世知事や新潟市の中原八一市長などが参加し、テープカットが行われた。また、各団体の代表者より寄付・寄贈が行われた。
DMHCの五十嵐隆理事長は「日本海側のハウスは今回が初めて。そういう意味で大変嬉しく思っている。さらに、このノウハウが日本全国に広がることを祈っている。新潟大学病院の近くにこういうハウスができると、両親と一緒に過ごす時間も増える。そういう支援体制も必要になってくると思う。そういう意味で、新潟県にとってもこういう場所ができたということは大きな進歩なのではないかと思う」と話した。
開所式に参加していた花角英世知事は、「長期療養をせざるを得ない子ども達の気持ちを少しでも和らげるような、その家族の気持ちも和らぐことができるような、本当に良い施設できたと思う。こうした入れ物を作ることがゴールではなく、これを上手に運営して行く事が大切だ」と語った。