新潟市中央区のピアBandaiが、イベントにも使えるエリアを備えて2月にリニューアルオープン
10周年に際したリニューアル事業
ピアBandaiにぎわい事業協同組合は、新潟市中央区のピアBandaiをリニューアルし2021年2月中旬よりプレオープンを開始する(4月グランドオープン予定)。今回のリニューアルはピアBandai10周年に際したもので、中央部に多目的利用可能なテラスの設置や、夜間イベントの開催など、今後はよりインバウンドや若年層をターゲットとした企画を充実させていくという。
ピアBandaiは2010年10月、「にいがたの台所」をコンセプトに、観光振興と物産振興の両面を併せ持った複合施設としてオープンしてから今年で10周年。一方、ピアBandaiが立地する土地は、新潟市から10年の期限で借用したものであり、契約更新に際して今後の経営方針などの練り直しが行われた。
今回のリニューアルを主導したのは、ピアBandaiで出店する各店舗経営者の子世代。若い経営者たちが原動力となり、ピアBandaiが次の10年へ向かうための転換が行われている。
中央部に新たに設置する「ピーカン・テラス」は観光情報の集積地に
ピアBandaiを運営する万代にぎわい創造株式会社の藤本暁史氏は「これまでの本施設は新潟市民から見て、『ピアBandaiへ行く』というよりは『鮮魚市場や寿司屋の弁慶など個々の店舗へ行く』ことが目的とされている面があり、施設自体を楽しむ場所として認知されていなかった。また運営側も、各店舗が独立して営業しているという感覚であり、これからの10年を作っていく上では、施設一丸となって何かを企画していく必要があると感じた」と話す。
そうした意識の中で企画したのが、施設中央部に現在建設されている「ピーカン・テラス」である。この施設はハンギングパラソルを並べた開放的な空間であり、購入した商品を手に休むことができ、来場者の滞在時間や周遊率を高めることが期待される。
しかし、「ピーカン・テラス」は単なる休憩所としての利用に留まらない。施設内には情報発信のためにインフォメーションセンターや200インチ大型モニターを設置し、各市町村との情報共有を行うことで、観光情報の集積地、もしくは観光コンセルジュとしての機能を付与していく予定なのだ。
藤本氏は「例えば、阿賀野市からお祭りなどのイベントの情報が届きそれを発信する。ここを情報の集積地とすることで、市民も観光客も情報源としてここへやって来るようになってもらいたい」とピアBandaiの在り方の転換について語る。
市民と観光客、両者が集まる場所
さらに今後は、「ピーカン・テラス」を利用したイベントの開催に力を入れていく。現在のピアBandaiへの来場者の多くは朝昼の時間に集中していることから、夜間は小売店が閉店し、飲食店のみが営業していた。こうした現状を打開するため、夜市やダイニングイベントなどを積極的に開催していくのだ。
イベント強化としてさらに、市民や市町村の自主・公募イベント開催などにも積極的であることも特徴的だ。個人であれば結婚式の二次会などの利用、市町村や団体は地場産品や新商品のフェアを開催することで、より新潟市民にとっても利用しやすい施設を目指しているようだ。加えて、起業を目指す人への支援として、期間限定で店舗を出店できる「チャレンジキッチン」という試みも行われることも、特筆すべき点として挙げられるだろう。また、毎年恒例の大人気イベント「手ぶらでBBQ」も一新されるとのことで、大いに期待したい。
今回のリニューアルは、経済産業省の商店街活性化の事業にも採択され、その事業の則りインバウンド客を意識した外国語表記の整備やSNS利用の強化などソフト面での強化も行われた。
その一つが、ピアBandaiのアプリリリースである。アプリには、施設の周辺に通りかかることでイベントなどのプッシュ通知が送られるビーコン機能が採用されており、前述のピーカンテラスと合わせて、情報集積・発信の基地としての今後の発展が注目される。
22日にはリニューアルに先立ち、10年前にピアBandaiが設立された際に植えられた木が移植され、代わりに新しくオリーブの木がシンボルツリーとして据えられた。リニューアル後のイメージに合致することに加えて、樹齢が最長150年に渡る点が昨年開港150年を迎えた新潟港に重ねられているという。10周年に際して新しく生まれ変わるピアBandaiには、次世代を担う経営者が地域の新たな文化の創出を考えた挑戦があった。その精神は次の10年、そしてさらに先まで紡がれていくだろう。
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ピアBandai webサイト