新型コロナワクチンの運搬などで注目の集まるツインバード工業(新潟県燕市)の「フリー・ピストン・スターリング・クーラー」
家電製造・販売のツインバード工業(新潟県燕市)が製造する「フリー・ピストン・スターリング・クーラー(FPSC)」と呼ぶ技術を活用した商品が注目を集めている。
今年10月23日付の同社IR資料などによると、小型で持ち運びが容易ななほか、精密な温度生業が可能で、マイナス50以下の温度制御が必要な場面(製薬・バイオ、食品・物流、化学・エネルギー、計測・環境など)で広く使用されている。
このうち、COVID-19のワクチンの保管・運送手段として、同社の保冷庫、輸送箱が注目を集めているのだ。
同社のホームページや各種資料を見ると、従来のコールドチェーンの輸送や、病院・クリニック・公共施設などのワクチン接種施設の多くは、極低温対応の機器を備えていないため、新たな需要が期待されているという。
こうした中、前出のIR資料によると、FPSC事業における主要取引先であるGlobal Cooling, Inc.(米国)より、同社のフリーザーボックスについて、初期ロットとして前期販売台数の約2倍に相当する1,000台の新規受注があった。Global Cooling, Inc.は、ツインバード工業のフリーザーボックスを、Global Cooling, Inc.製超低温のポータブルULT25NEUシステムに組み込み、世界的なワクチンの保管と流通に使用するという。
各種報道によると、米製薬大手ファイザーが開発中の新型コロナウイルスワクチンは超低温(マイナス70度)での保管が必要とされるが、ツインバード工業のフリーザーボックスを組み込んだGlobal Cooling, Inc.製ULT25NEUはマイナス20度からマイナス86度まで対応が可能なこともあり、期待が集まっている模様だ。
また前出のIR資料によると、海外企業を中心に数多くの引き合いがあり、「今後受注が確定し、開示すべき事情が発生した場合には、速やかにお知らせいたします」(IR資料より)という。
一方、前出のIR資料によると、国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」で採用されたほか、独立行政法人国際協力機構(JICA)より「COVID-19を受けた途上国における民間技術の活用可能性に係る情報収集・確認調査」にも採択されている。
こうした状況から、今年10月以降、ワクチン関連株として同社の株価は急上昇を見せている。