今若い女性に人気な明治生まれの文豪・坂口安吾の展示会が新潟で開催中
旧新潟市長公舎を活用し、市出身の作家坂口安吾の魅力を発信する「安吾 風の館」(新潟市中央区)で、作家の坂口安吾の展覧会「安吾って!?part3」が開催されている。本展覧会は、初めて坂口安吾に触れる人たちに向けて、坂口安吾氏に関する疑問と驚きを届ける展覧会。今回はその第3弾となり、展示期間は来年の3月21日までとなる。
坂口安吾は明治39年(1906年)に新潟市西大畑通(現・西大畑町)で生まれ、25歳で文壇デビューを果たし昭和初期から中期まで作家として活躍した。昭和30年(1955年)48歳没。代表作に、「堕落論(銀座出版社1947年)」、「白痴(中央公論者1947年)」、「不連続殺人事件(岩谷書店1949年)」などがある。
終戦直後に発表した「堕落論」「白痴」で一躍流行作家となり(当時40歳)、その作風から太宰治、織田作之助、石川淳らと共に、無頼派・新戯作派と呼ばれた。純文学のみならず、歴史、推理、評論、随筆などの様々のジャンルを手掛け、その多彩な作品は多くのファンを魅了する。
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偉大な大作家坂口安吾だが、今は特に若い女性のファンが多いと言う。坂口安吾展の学芸員岩田多佳子氏は、「坂口安吾は昔から根強いファンが多いですが、なんと今若い女性からの人気が特に高いのです。昨年から行っているアンケートでは、10〜20歳代の女性の方からのご回答が特に多くなっています」と話した。
なぜ昭和に活躍した文豪に若い女性が関心を寄せるのか、岩田氏は続けてこう話した。「実はゲームやアニメから坂口安吾を知ってくださる方が非常に多いです。ゲーム『文豪とアルケミスト』、アニメ『文豪ストレイドックス』や『UN-GO』といった2次元作品から安吾を知り、そして実際に作品を読んでファンになったと言う方がたくさんいらっしゃいます。」
また、岩田氏は、どんなキッカケであっても、多くの方に坂口安吾の作品を知ってもらい、作品に魅力を感じてくれることを本当に嬉しく思うという。「坂口安吾の著作は様々なジャンルがあるので最初に手に取る作品は人それぞれ。時間が経ってもこれだけの人に安吾の作品が親しまれていると言うことは、時代と共に新たな解釈が生まれているからだと思います。安吾の作品には短編も多いので、是非気軽に作品を手にとっていただきたいです」
展示会場では、坂口安吾に親しみをもってもらいやすいよう、安吾着用のスーツや、愛用のステッキ、旅行鞄や、手袋など、遺愛の品々を数多く紹介している。また当時の写真の展示や、最近出版された安吾作品、文庫で読める作品紹介なども充実している。他にも、先に話したアンケート結果の展示や、坂口安吾の息子でプロカメラマン(安吾 風の館の館長)の坂口綱男氏の写真展も同時に行われている。
◎安吾風の館
新潟県新潟市中央区西大畑町5927−9
開館時間:午前10時〜午後4時
休館日 :月・火(ただし、祝日または振替休日の場合その翌日)
年末年始(12月28日〜1月3日休館)
入場:無料