ホテル・旅館などの宴会部門を支援する新潟市の事業、一時停止のもう一つの背景?
新潟市は、ホテル・旅館などの宴会部門を支援する事業「あんしん宴会割引キャンペーン事業」を今月16日から一時停止した。
制度は、大規模な宴会場などを持つものの新型ウイルスの影響で利用が激減し苦境に立たされているホテルや旅館などを会場に、10人以上の団体で、1人6,000円以上のプランで会食した場合に、1人当たり3,000円を補助するもの。宴会前に対象施設内で会議を開催した場合は、割引額をさらに1,000円加算する。新潟市のホームページには、「本市の重要な都市機能の一つである、大人数が集える宴会場やバンケットを有するホテル・旅館への支援として、宴会や会議で利用した際の費用の一部を補助します」とあり、「3密」にならない広さの宴会場を持つ施設などが対象となっていた。
今月1日に、ホテル、割烹、料亭関係者が市役所で記者会見を開き、苦境を訴え、その会見に新潟市の中原八一市長も同席し、「支援策を考えたい」と発言したのをきっかけに今月11日にスタートしたという。
だが、わずか数日での停止となった。一部報道などによると、「当時、県により警報が発令される見込みであった」ことや、「10人以上の会合を対象にしていたため市民から批判が上がった」ことなどから、制度を一時停止することを決めたという(実際に市のホームページには、「新潟県による新型コロナウイルス感染症に関する警報の発令など、感染症状況に応じて、割引の利用制限や期間の延期、事業が中止となる場合があります」と書かれている)。
一方、この事業の対象となるのは、大規模な宴会場を備えるホテルなどに限定され、それ以外の小規模な料亭や飲食店、ビジネスホテルなどは対象ではなかった。こうした中、ある飲食店オーナーは、「ホテル・旅館を支援するこの事業が始まった途端に、予約をキャンセルされた飲食店が相次いだ」と憤る。
たしかに、7,000円のホテルの会食がわずか3,000円で満喫できるとなれば、新潟県Go To Eatキャンペーンお食事券などがあったとしても、飲食店が太刀打ちできなくなることは想像に難くない。こうした不満が実は突然の中止に繋がったのではないかと見る向きもある。ある関係者は、「料亭から『料亭も支援の対象に考えてほしい』と訴えたことも、一時停止に繋がったのではないか」と教えてくれた。
市のホームページによると、一時停止期間は「当面の間」とあるが、再開後は対象人数を少なくしたり、対象店舗を拡大することも検討されているという。時間の限られた中での制度設計になるが、再開後、特定の業種に偏っていると誤解を与えかねない事業になっていないかどうか注目していきたい。