新潟で起業を志す学生によるテントサウナイベント
コロナ禍でアウトドアに注目が集まる中、アウトドアサウナ事業で起業を目指す、新潟大学経済学部3年の冨田翼空さんが昨年12月26日、新潟市中央区の関谷浜にある「シーポイントニイガタ」で、アウトドアサウナのイベント「サウナッツ」を開催した。新型コロナウイルス感染症対策として、アルコール消毒、マスクの着用の徹底、検温を実施した。
イベントの参加者は大人6名、学生4名。イベントでは、テントサウナのほか、ナッツを食べながらのBBQやシーポイント内でのすき焼き食べながらの懇談会などを行った。
またイベントでは参加費を徴収し、収支は若干の黒字だった。開催後、参加者からの評判もよく、サウナイベントは今後定例的に行っていく計画で、今年は新潟市や燕三条、佐渡などでイベントを順次開催する予定だ。冨田さんは、「これからも、アウトドアサウナの良さを県内外に広めていきたいと思います。今年も頑張って様々なイベントを行う予定ですので、色々な方にアウトドアサウナで得られる多幸感や、そこで生まれるコミュニケーションを味わっていただきたいです」と笑顔で話した。
冨田さんは、新潟大学でマーケティングやアントレプレナーシップ(起業家精神)を教える伊藤ゼミに所属している。
昨年10月には、ビジネス展示会「にいがたBIZ EXPO」(ビズエキスポ)に出展したINSIGHT LAB株式会社(インサイトラボ、東京都新宿区)のブースで来場者への対応を行うなど経験を積んだ。
インサイトラボは、起業家育成支援を行う「SN@P新潟(スナップ新潟)」の支援パートナーになっていて、その取り組みの一環として、ビズエキスポでも出展に関する全てを2人の新潟大学生に任せたのだ。その一人が冨田さんで、展示会終了後、にいがた経済新聞の取材に対し、「すべて自分たちで考え、準備し、実行しなければいけない環境に置かれて初めて、できること、できないことがわかりました。こうした中で、『自分で動くこと』の責任感の重さと楽しさを感じることができました。また自分で考えることを気付かぬうちに怠ってしまっていたと痛感し、『自分の考え』を再度確認するキッカケになったと思います。今回の経験を活かして起業活動を進めていきたいです」と述べていた。
一方、起業家を目指す冨田さんだが、実は、今回のアウトドアサウナイベントの開催を決断するまでには、心の葛藤があったという。「もっと前からこうしたイベントをやりたいという思いはありました。しかし、はじめのうちはモジモジしていて、企画案はあっても行動に移せずにいました。しかし、色々な方と関わっていく中で、沢山の人が背中を押してくれて今回イベントを開催させることができました」
実際にイベントを開催してみて、「しっかりと枠組みを作り、情熱さえあれば、意外と協力してくれる方が多い」という印象を受けたという。冨田さんは、「イベント開催にあたり、場所や価格、企画案などをしっかりと明示し、開催に向けて行動したところ、様々な方が企画に賛同してくれました」と話した。
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2019年以降、新潟県や県内の企業が主導する形で、前述のSN@Pなど県内各地にスタートアップ拠点が相次いで整備された。新潟県は開業率が低く、起業家志向の若者に交流や相談の場を提供することで、起業者数を増加させていこうというのが狙いだ。
こうした中、ある大学生は「将来起業したいと言う思いがあったが、そのために何をすればよいかわからなかった。そうした中で、SN@Pができて、いろいろ相談できるようになりました」と打ち明ける。また冨田さんもイベント開催の決断までに葛藤があったと語っている。起業を志向する若者は少なからずいると言われている中、最近相次いで整備されたスタートアップ拠点が、より多くの起業家志望の若者が集まる場所となり、“物心両面”からサポートしていくことを期待したい。