第1回新潟県文化振興財団有識者懇談会を開催、新型コロナウイルスの影響による文化活動の現状と課題を共有
新潟県観光文化スポーツ部文化課は20日、新潟県自治会館(新潟市中央区)で、第1回新潟県文化振興有識者懇談会を開催した。新潟県内で文化活動に携わる有識者12人を委員メンバーに選出し、文化を取り巻く現状や課題などを話し合った。
新潟県文化振興財団有識者懇談会は、平成29年度から8年間の取り組みとして策定した「新潟県文化振興ビジョン」に基づく施策の実施状況や文化振興施策の充実などに向け、多様な関係者からの意見を聞くため設置したもの。新型コロナウイルスの影響などを踏まえた現状の課題を共有し、「新潟県文化振興ビジョン」の改定に向けた検討を行っていく。同懇談会の座長には、長岡造形大学の小松佳代子教授が就いた。
懇談会では、参加した委員より、「コロナの影響を受け文化活動がどのように変化しどのような課題があるか」や、課題解決に向けた取り組みの方向性などについて、それぞれの文化活動からの意見が出された。
公益財団法人新潟県文化振興財団の大浦容子代表理事は、コロナにより文化活動において、発表する舞台の場だけでなく、練習も含めた技術向上の場が減少した状況を説明した。大浦代表理事は、「活動の場を失ったことで、生のパフォーマンスの大切さが分かった。県が行ったアンケートを見ると、『文化に触れる機会が少ない』という県民からの声があった。生のパフォーマンスを提供できる体制を整えることが課題」と話した。
また、公益社団法人新潟県観光協会の早福亮常務理事は、コロナの影響によって新たに取り組んだ「オンラインツアー」について説明した。令和3年度は、酒造り見学ツアーや村上茶の淹れ方などをインターネットで配信する「オンラインツアー」を3本行ったところ、前年度は好評だった一方で、今年度に入ってからは反応が鈍くなったことを明かした。
早福常務理事は、「コロナから観光の状況は、昨年は60パーセント、今年は80パーセントくらいまで復活している感覚がある。やはり皆さん、リアルの方を求めていて、潮目が変わってきたという感覚を持っている」と話した。
この意見に関連して、株式会社新潟日報社の森沢真理取締役特別論説編集委員は、「今、いろいろな文化活動の実施の仕方が、リアルとオンラインを併用している場面が増えているが、あらためて思うのが、受ける側のデジタル格差の問題。新潟は高齢化が進んでおり、人口も減っている中で、デジタルの面での底上げをセットで考える必要があると思う」と語った。
今後、新潟県文化振興財団有識者懇談会は、11月と来年1月に開催を予定しており、委員の意見を踏まえたビジョン改定の方向性などについて検討を進めて行く。