【独自】新潟県の花角英世知事が語る、企業誘致への「5つの施策」

新潟県の花角英世知事

新潟県の花角英世知事は22日、新潟県庁で開いた記者会見において、にいがた経済新聞社が質問した「企業誘致に関する施策」について、新潟県の取り組みを説明するとともに、花角知事の考えを示した。

コロナ禍でのリモートワークの進展などを背景に、新潟県は首都圏のIT企業を中心に、サテライトオフィス開設の誘致に取り組んでいる。一方で、他県でも同様の取り組みが進んでおり、「新潟を選んでもらうためにはどうするか」という課題がある。

にいがた経済新聞社は花角知事に対し、企業誘致の課題に対する県の施策について質問をした。花角知事は、新潟県が取り組んでいる企業誘致の施策や、県の強みなどについて、5つを挙げ説明した。

 

新潟が持つ「強み」を発信

1つ目は、新潟が持っている利点や強みを発信していくこと。

花角知事は、新潟県は首都圏から新幹線で約2時間というアクセスの良さがある点を挙げたほか、IT関連の専門学校や大学などが多くあり、IT人材を多く輩出していることから、人材の確保がやりやすい点を挙げた。加えて、新潟県が事業継続性の向上おいて、優位な場所である点を挙げた。

花角知事は、「首都圏で自然災害が起きた時、日本海側は同時には被災しない可能性が高いエリア。事業継続性を考えたときに、支店や事業所などを新潟に設けることが事業継続性においていい事ではないか」と話した。

2つ目は、企業誘致における補助金支援などの手厚いインセンティブを用意していること。

例えば、新潟へ進出を検討するための事前調査費用の補助、オフィスの賃料の補助、什器や備品などを揃えるための初期投資の補助など、各種支援補助の制度を設け誘引を図っている。

 

拠点施設の拡充と、人的な結びつきを活かす新施策

3つ目は、スタートアップやベンチャー企業などが入る拠点施設が、県内各地に出来てきていること。

新潟県内の主な拠点として、新潟市のNINNO(ニーノ 新潟市中央区)、JM-DAWN(ジェーエム・ドーン 新潟県上越市)、CLIP長岡(新潟県長岡市)などがあり、IT関連企業や進んだ働き方をしている企業が集まってきている。

県内の拠点施設に企業が集まってきていることについて、花角知事は、「集積するとお互いが化学反応を起こし、連携して新しいビジネスが生まれることがある。発展し成長する環境があることをアピールしてきている」と話した。

4つ目は、人的な結びつきを活かす「IT企業誘致アンバサダー」設置の施策だ。

IT企業経営者などにおいて、人と人との結びつきが多いことに着目し、「IT企業誘致アンバサダー」を今年6月に設置した。5人の経営者にその肩書きを担ってもらい、人的なつながりの中から企業誘致につなげる取り組みを行っている。

なお、「IT企業誘致アンバサダー」に就任したのは、フラー株式会社(新潟市中央区)の渋谷修太代表取締役会長、INSIGHT LAB株式会社(東京都)の遠山功代表取締役社長CEO、株式会社KUNO(東京都)の佐藤傑代表取締役社⻑、株式会社イードア(東京都)の石川翔太新潟支社長、エイトビット(東京都)の須山博一代表取締役の5人。

 

越後湯沢エリアで社会実装を目指すMaaS(マース)

5つ目は、市町村や民間企業などと連携して進めている、従来の交通手段やサービスに、さまざまなテクノロジーを掛け合わせた次世代の交通サービス、「MasS(マース)」の取り組みだ。

新潟県湯沢町では、リゾートマンションを一部改装し、シェアオフィスやコワーキングスペースをつくり、企業が入居することが広まってきている。その一方で、越後湯沢駅までの交通手段の不便さが課題となっている。これに対し、昨年新潟県は、湯沢町やさまざまな企業と連携し、路線バスやリゾートマンションが所有する送迎バスなどの交通資源を組み合わせ、利用者にとって便利で手軽に予約ができるというしくみ「MaaS」の実証実験を実施した。

花角知事は、「MaaSの実証実験を昨年度に行ったが、非常に好評だった。今年度は、それを社会実装していく取組みを進めている。このように、市町村や民間と連携して、企業誘致を図っていく事を進めて行きたい」と語り、MaaSへの手ごたえと企業誘致への可能性に期待を示した。

新潟県産業労働部によると、IT関連企業の誘致実績は近年増加傾向にあり、令和3年度の実績は15件と過去最多となった。ウィズコロナ社会おいて企業の地方進出が注目されるなか、新潟県の強みや優位性を活かした「5つの施策」が実を結ぶことに期待が寄せられる。

(文・撮影 中林憲司)

 

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