【再掲載】箱根駅伝で走る青山学院大学のユニフォームにロゴを表示する新潟県妙高市

青山学院大学のユニフォームと選手たちの寄せ書き

新潟県妙高市は2020年から、大学駅伝強豪の青山学院大学とユニフォームにロゴを表示する契約を結んでいる。駅伝スポンサーは民間企業が億単位で投入している中、妙高市は金額は少ないながらも数少ない行政のスポンサーとして、その存在感を増している。

妙高市と青学の取り組みは、今回で3回目で、1年目は箱根駅伝のみの契約だった。2年目から箱根駅伝のほか、大学3大駅伝と呼ばれる出雲駅伝、全日本大学駅伝も加わった。

 

ホームページアクセスが400倍に

箱根駅伝は、正月三が日の2日、3日に行われ、視聴率30%を記録する人気番組である。その順位結果で大学の受験先にも影響があると言われているほどだが、妙高市観光商工課観光交流グループの牛木優治主事は「やはり、駅伝界の中でも発信力が一番強いところではあります。妙高市の名前を周知いただくというところに関しては効果が高い。やはり、箱根駅伝が一番効果があり、ホームページのアクセスが400倍になりました。大変な広告だと思います」と話す。

大学のスポンサーは民間が主だが、中には妙高市のように行政もある。ほかに2つの都市があり、千葉県印西(いんざい)市が順天堂大学、同じく千葉県の我孫子市が中央学院大学となっている。

「ちょうど3年前に箱根駅伝でスポンサーロゴの表示が解禁されたんです。それでつけさせていただいたという経緯です。例えば民間だったらクラウドファンディングとかしないでそのままお金を払う。民間ですと、高額な広告料をお支払いしてるという話は聞いたことがあり、当市の具体的な金額は申し上げられないんですが」(牛木主事)。

青学の原晋監督が就任してから約20年間ずっと、妙高市で合宿をしてきた縁と、スポンサーの解禁など条件が重なり、原監督から「妙高市に恩返しをして、地域貢献がしたい」と申し出があった。牛木主事は「当市としても、願ってもない申し出でした。それをきっかけに話がどんどんと進み実現したというような形です」と語る。

原監督は今月13日の妙高市でのトークショーコメントで、「3年前よりユニフォームにロゴをつけさせていただいているんですけど、恩返しとなると、やはり我々が勝利することだと思います。箱根駅駅伝の30%の視聴率の中で先頭を走る。妙高市から大学に行って、そのまま就職をした方々は、数えきれないくらいの方いらっしゃると思うんですね。我々ががんばることにより田舎のお父さんやお母さん、おじいさん、おばあちゃん、この土地を思い出すきっかけになってほしい。あるいは、妙高市を離れて、会社を立ち上げた経営者の方も何人もいらっしゃると思います。ふるさと納税やってみようかとか思ってもらいたいですね」と話した。

また、ユニフォームにロゴを表示する広告料は、行政としての公平性を保つために、税金は一切使わず、すべて寄付から賄っている。具体的には、クラウドファンディングや企業版ふるさと納税、さらに市役所で受け付けている寄付だ。

 

クラウドファンディングなどで税金はゼロ

「当初は、市民の方から『貴重な税金を使って、ロゴをつけることは誰もOKなんて言っていない』とか、『青学には全然興味ないんだ。なぜそこに税金を使うんだ』という問い合わせもあったんですけど、税金を全く使っていませんと説明をすると、皆さん納得されて、私も応援しようかなと言って寄附してくれたりもしました。行政イコール税金投入というイメージを払拭できた事業でもありました」(牛木主事)。

青学は約20年前から妙高市杉野沢に合宿に来ていた。近年では、青学が結果を出したということもあってか、箱根駅伝のシード校のほとんどが妙高市に合宿に来ているという。

関東大学のみを対象にしている箱根駅伝は、来年1月の第100回大会は記念大会として、全国の大学に出場権が拡大される。

まずは、正月の青学の活躍と、妙高市のロゴが全国に広まることを願っている。

青山学院大学の原晋監督(2022年9月13日の妙高市でのトークセッションにて撮影)

 

(文・梅川康輝)

 

 

 

 

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