【特集】豪雪で県内各地で相次いだ建物被害、南魚沼市民病院の正面玄関屋根が破損する被害も
新潟県内全域での集中的な降雪により、9日から11日にかけて様々な地域で多くの被害が頻発した。この豪雪に伴い、県内において警戒・対策本部が設置された自治体は16地域(新潟県含めず)、にまで上り、また新潟県でも10日、佐渡の大断水やJR線の立ち往生などがあった平成30年2月の大雪以来となる豪雪対策本部が設置された。
今回の数年に一度レベルの豪雪は、確実に多くの住民にも少なからずの不安を与え、中でも住民の心配事の一つに雪の重みによる家屋や建築物の倒壊があったのではないかと思われる。実際に県内において令和2年度1月15日現在までの間、積雪による住宅被害は66件も確認されている。
積雪による住宅被害件数が県内市町村の中で2番目に多かった南魚沼市では11日、積雪により南魚沼市民病院の正面玄関屋根が破損する被害が発生した。幸いにも怪我人は無かったものの、病院入口の変更が余儀なくされた。
市民病院担当者に話を聞くと、「屋根には消雪装置も搭載されていたが雪が積もるスピードの方が早かった。倒壊発生以前には病院職員が簡易的に屋根の周囲の雪下ろしを行っていたが手に負えず、業者を呼んで屋根の雪下ろしをしていた際に発生した出来事でした」と話した。現在屋根に関しては撤去作業を行っており、完全復旧はいつになるかの目処は立っていないという。
一方、72時間の降雪量の観測史上1位を更新した新潟市秋葉区でも、カーポートが倒壊した家が見られた。降り続く雪で除雪が困難なほどの積雪のなか、大型のカーポートが積雪の重さに耐えられずに倒壊。近隣に実家がある男性は、「カーポートは屋根がアーチ状であったため屋根の雪が勝手に落ちるかと思いきや、どんどんと雪が積もっていった。屋根が樹脂製かつ、足場が平ではなかった為、雪下ろしが難しかったのではないか。私も実家で自転車用の小さなカーポートを除雪したが、屋根が樹脂製で、人が上がると壊れそうで苦心した」と語っていた。
新潟市内は、上越などとは違い積雪で倒壊する家屋は今冬はまだ少ないものの、雪対策に良かれと思って各家庭が設置したカーポートの倒壊などの被害が散見される。カーポートにもいくつか種類があり、物によっては20cm〜1mから雪下ろしが必要になるが、地上約2m程度の高さの雪下ろしは決して容易な作業ではない。ましてや今回のような豪雪ではカーポートの雪下ろしが後回しになってしまうご家庭も少なくないようだ。
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今年は数年に一度レベルの豪雪だったため、こうした倒壊事故は仕方ないと思える側面がある一方で、各家庭・事業者の降雪への危機管理能力を問われる一件にもなった。今後屋外設備の充実をはかる際は、「数年に一度レベルの積雪」を視野に入れた上で検討することが、「大切な人を守る」という観点からも必要になるのかもしれない。