新潟県長岡市で米百俵・時代行列、3年ぶり勇壮に

行列を練り歩く河井継之助

新潟県長岡市で1日、「米百俵まつり越後長岡時代行列」が開催された。「米百俵」とは、戊辰戦争の敗戦によって窮乏した長岡藩への救援米として三根山藩から送られた百俵の米を、ときの大参事・小林虎三郎が長岡復興の将来を担う人材の育成のための国漢学校設立資金の一部に充てたという、長岡に伝わる故事のことである。後に山本有三による戯曲で有名になったこの話は、「目先の利益にだけ目を奪われるのではなく、広く将来をも見据えた人材の育成に投資することが重要」というメッセージが込められ、「長岡の精神」として伝わっている。2001年、小泉純一郎が、小泉内閣発足直後の所信表明演説で引用したことにより、全国的に有名になり、同年の流行語大賞にも選ばれた。

同祭りは、元々8月1~3日に開催される長岡祭り2日目に行われていた武者行列が2002年以降、長岡祭りから発展、独立した形で行われるようになり、今年で21回目を迎える。「長岡の精神」を、次世代を担う子どもたち、さらには日本全国・世界各国へと伝えることを目的とし、秋の収穫祭と併せた形で毎年10月第1週の土曜日に開催される。特に今年は、新型コロナウイルス感染症の拡大のため、2019年以来実に3年ぶりの開催となった。

当日は大手通にメインステージが組まれ、悠久太鼓などによるステージパフォーマンスが行われた。ステージ付近には飲食・物販ゾーンが設けられ、長岡の偉人たちに因んだ雑貨や地元に因んだ飲食物などが販売されていた。また、セントラル通りでは「体験!国漢学校ブース」が設けられ、「チャンバラ体験」「なりきり姫・武将体験」など、子どもや親子連れを対象に、遊びながら楽しく地元の歴史について学ぶことができるコーナーなども併設された。

会場で腰を下ろして休憩していた峯岸多賀子さん(54歳)は、東京都日野市からの参加である。毎年同祭には、日野新選組同好会の一員として行列に参加していたが、今年は足の怪我のため断念した。「(実際に会場に来てみると、)人の出が当初思っていたより多い。時節柄東京の方ではまだまだイベントが少しできる程度。そういう中でこれだけの規模のイベントを開催したのは、主催の方も思い切ってらっしゃる」と驚嘆した。

また、悠久太鼓のパフォーマンスを興味深い様子で見学していた米国ミシガン州出身のRafael Zapataさん(39歳)は、今回、長岡市へは月曜日に行われるビジネス会議に出席するため立ち寄ったという。ホテル滞在時に同日に祭があることを偶然知り、見学しに来たとのこと。「これがどういうお祭りなのかはわからないが、とても興味深く感じる」と語っていた。

当日は晴天に恵まれ、祭りは予定通りに行われ、関係者一同ほっと胸を撫で下ろしていた。

「なりきり姫・武将体験」コーナーでは、親子連れでにぎわっていた

祭りに参加するために日野市から訪れた峯岸多賀子さん

初めて祭りを見学したというRafael Zapataさん

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