新潟県と新潟大学医学部が医師の養成等に係る協定を締結

花角英世知事(左)、新潟大学医学部長の染矢俊幸氏(右)

新潟県は19日、新潟大学医学部と、総合的な診断能力を持つ医師の養成等に係る協定を締結し調印式を行った。将来の人口構造の変化に伴う医療需要の変化等に対応し、県内のどこに住んでいても安心して医療を受けられる環境づくりを進めるためには、今後総合的な診療能力を持つ医師を確保していくことがより求められていることから、県と新潟大学医学部が連携し、これらの医師の卒前からの要請等に取り組むため、「総合的な診断能力を持つ医師養成等に関わる新潟県と新潟大学医学部との協定」を締結した。

調印式には、花角英世新潟県知事、新潟大学医学部長の染矢俊幸氏、医学部医学科総合診療学講座特任教授の上村顕也氏、大学院医歯学総合研究科新潟地域医療学講座地域医療部門特任教授の井口清太郎氏、医歯学系事務部長の小海松男氏が参加した。

協定の具体的な内容としては、総合的な診療を中心的に担う医師の養成に卒前から取り組んでいくほか、地域枠などの修学資金貸与医師(※)が、地域で求められる診療能力を取得できるよう、卒業後の勤務先(医療機関)などの配置について配慮していく。また地域枠などの修学資金貸与医師が、地域で求められる診療能力を取得できるよう、両者協力のもと、必要な教育およびキャリア形成の支援を行なっていく。このほか、新潟県は、総合的な診療を中心的に担う医師の陽性が効果的に行われるよう、県内の各種医療統計などの情報を、新潟大学医学部に提供する。

 

染矢医学部長によると、今の医学教育は臓器別の専門医の育成をするという方向に舵がきられているが、かつて医学部を卒業した医師は今で言う総合診療医として、地域の医療・家庭を一点で支えてきたという。「これまでは(こうした地域医療については)先輩医師達の尽力に頼ってきた部分が大きかった」と染矢医学部長は話す。

そこで協定では、新潟大学が中心となり、県全体のシステムとして構築することで若い医師の総合診療能力を高める循環型の仕組みをつくっていく取り組みを行なっていく。「これまでの大学と大きく違い総合専門診療医を育てると共に、臓器別の専門医であっても極めて高い総合診療能力を持つ医師を養成するという2点が今回の事業の目玉である」(染矢医学部長)という。

調印式の様子

調印式に出席した花角知事は、「厚生労働省の基準によると新潟県は全国でもトップの医師不足県。新潟県、新潟大学医学部、地域で連携をして地域医療をより良くしていくための総合診療医を確保していく事業を共に進めていく」と話した。

染矢医学部長は「ぜひ多くの医学生、すでに医師となっている先生方にこの事業に協力をいただき、新潟県に1人でも多くの優秀な総合診療医の能力を持った医師を育成していきたい」と話した。

 

(※)新潟県は、将来、県内の医療機関に医師として勤務する意思のある医学生(医学部の「新潟県地域枠」に在籍する医学生など)に対して、修学資金を貸与している。その学生が卒業後に医師免許を取得して、一定期間、指定する医療機関(県内医療機関など)に勤務した場合には、返還が免除される。なお医学部に新潟県地域枠がある大学は新潟大学、順天堂大学、関西医科大学、昭和大学となっている。

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