新潟県の原発技術委員会再任を求め立石雅昭委員が記者会見
新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会の委員7人が、高齢などを理由に再任されない問題について、委員の1人である新潟大学名誉教授の立石雅昭委員が記者会見を開いた。立石委員は同じく再任を求める鈴木元衛委員と共に、花角英世知事へ要望書を提出する予定である。
立石氏は記者会見にて、「高齢から新しい知見を取り入れづらくなる」として再任を認めない県の姿勢や、柏崎刈羽原発再稼働の議論が始まった現時点で委員会の構成が変わることについての疑問を呈していた。
立石委員は柏崎刈羽原発が2007年の中越沖地震によって被災したことを受けて、2008年に県から技術委員会を委嘱され、地質学の観点から検証をしてきた。同じく再任を求める鈴木委員は、2003年の委員会設置時から委員に所属してきた。
立石委員によると、15日に県の原子力安全対策課から電話で不再任の連絡を受け、突然の不再任に「寝耳に水」だったという。
立石委員は県が提示した不再任の理由に対して、「私たちは原発を検証する上で新しい知見を取り入れる努力をしてきており、高齢だからといって古い知見だけで物を言うことはありえない」と反論。
また、「新しい人への交代はあり得るが、原発再稼働についての議論が始まる重要な時期での交代には疑問がある。我々は福島原発事故の検証を行い、報告書を提出したが、その報告をどう生かすかが重要であり、議論のためには検証に携わった人間が在籍した方が良い」と話す。
さらに、検証委員会委員の半数が変更されることについて、新しい委員では萎縮して活発な議論が起こらない点や、若い研究者の研究環境が逼迫しており自らの研究の外には手が回らないことにも立石委員は言及しながら、「県から出される原案について十分に議論されないのではないかという懸念がある。客観的に見て、今回の不再任は委員会の変質をもたらすものに見え、行政の行動には県民の安全性への思慮が欠落しているように感じる」と話した。
立石委員は再任を求めるとともに、今後は技術委員会として検証報告を議論できる体制作りなども提言していくようだ。
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