新潟県の帝京長岡高校への中労委命令交付に際し、高校から不当労働行為を受けた教諭が記者会見
新潟県の帝京長岡高校から不当労働行為を受けたとする吉田大教諭が22日、同校へ中央労働委員会から命令が交付されたことを受けて記者会見を開いた。中労委命令の内容には、吉田教諭に対する解雇の撤回や、謝罪文の手交と教務室への掲示などが含まれている。
新潟合同法律事務所の土屋俊幸弁護士によると、帝京長岡高校は吉田教諭へ対して、労働組合に加入したことを理由に不当労働行為を行ってきたという。2015年には吉田教諭へ対して懲戒処分(けん責・謹慎)、及び担当していた部活の監督・顧問から外し、これに対し吉田教諭は県労委へ救済を申し立てた。
2017年11月、県労委は上記の処分の撤回と謝罪文の手交を内容とする命令が出したが、学校側は履行せず、中労委へ再審査申し立てを行った。中労委は2020年2月、懲戒処分の撤回などの和解勧告を示したが、学校側は勧告受け入れを拒否。3月に吉田教諭へ対して普通解雇を通告した。
新潟地裁長岡支部では2020年9月に「解雇は解雇権濫用にあたり無効」との仮処分決定が下されたが、学校は決定に従わず保全異議申立てを行い、現在その審理が続けられている。
2020年12月16日付(命令書到着2021年1月21日)の中労委命令書では、学校側は吉田教員へ対する組合員差別を謝罪し、不当労働行為として行われた解雇を撤回、直ちに職場に復帰させるべきであるという内容が示された。また、2017年に県労委から出された命令では謝罪文の手交のみだったものの、今回は同校の教務室への掲示という、組合の申立てを認める内容となった。
吉田教諭は今回の命令書を受け「教職員が安心して働いていけることが大切で、県労委に引き続き、中労委でも不当労働行為が認められたことを学校は真摯に受け止めてもらいたい。私としては、1日でもはやく教室へ戻り、生徒たちへ会いたいと思っているし、学校が生徒たちへ『吉田先生には関わるな』と呼びかけていることも止めてもらいたい」と話した。
土屋弁護士は、学校側の今後の対応について「これまでの対応を考えると、自分たちの主張が認められるまで徹底抗戦すると思われる。しかし、学校という生徒へ教える立場上、行政命令に従わないのは非常に矛盾した対応だと思う。しっかりと履行するように求めていきたい」と話した。