新潟大学医学部医学科総合診療学講座スタートアップシンポジウムが開催
新潟大学医学部医学科は、新潟大学医学部医学科総合診療学講座を設置したことを受け、22日、新潟大学医療人育成センターにて、「新潟大学医学部医学科総合診療学講座スタートアップシンポジウム」を開催した。シンポジウムはオンラインも併用した形で行われ、医師だけではなく医学部生らも参加した。
開会挨拶で新潟大学医師学系長・医師学部長の染矢俊幸氏は、「新潟大学医学部医学科では、昨年公募があった厚生労働省による、総合的な診療能力を持つ医師養成の推進事業に採択をいただいた。事業採択を受け昨年12月1日に、新潟大学医学部医学科総合診療学講座を設置、担当教授に上村顕也先生を選考し新体制をスタートさせましたが、すでに医師会や関連病院からご支持とご協力をいただいている。また新潟県からご協力いただき協定の締結も行った。総合診療に関心のある学生のキャリアパスを新潟から描ける仕組みを作りたいと思う」と述べた。
次に、この講座特任教授である上村顕也氏が事業内容を説明。「テーマは総合的な診療能力を持つ医師を新潟で育成するという点です。目指すものは大きく分けて2つあり、一つは『総合医を増やす』と言うこと、もう一つは『そのための教育研修キャリア支援を担う』ということだ」(上村氏)と話した。
続けて、「日本は2025年には4人に1人が75歳以上になってしまうというデータがあるが、高齢者は一度に複数の疾患を抱えることが少なくない。そして高齢者にとっては複数の科を受診すること事は大きな負担となる。今後の日本では、こうした患者を一度で診れるような、総合医としての豊富な知識と気持ちが求められる事になる」と上村氏は説明した。
その後、県内の総合的な診療に関わっている若手医師によるパネルディスカッションが行われ、総合医療に関わる現状や課題、期待する事など、多岐に渡って意見交換がされた。また、多くの医師達から本講座を受講する学生に対しメッセージも贈られた。
閉会の挨拶で、新潟大学医歯学総合病院長の冨田善彦氏は、「やはり現場に立って患者様をファーストエイジするという臨床力は、どの場面においても必要になってくる。ですから私は柔軟に考えていて、初めからそれを目指すも良し、専門医としてキャリアを積んでからそちらに進んでも良しで、是非学生達には色んなやり方を考えてみて欲しいと思います。新大病院でも臨床実習を考えていきたいと思いますし、また研修でもそういった部分を意識しながらプログラムの改善を続けていきたいと思います」と医師のあり方における多様な可能性と、今後の取り組みについて語った。