新潟食料農業大学(新潟市北区)が「ゆたからサーモンプロジェクト報告会」を開催
新潟食料農業大学(新潟市北区)が25日、安田温泉やすらぎ(阿賀野市)で「ゆたからサーモンプロジェクト報告会」を開催した。同学は開学3年目、このプロジェクトに参加した同学の食料産業学部食料産業学科ビジネスコースの3年生は第1期生であり、授業の一貫である食産業ビジネス演習の科目でこれまでゆたからサーモンのフィールドワークを行っていた。
ゆたからサーモンとは、阿賀野市で温泉施設を経営する「安田温泉やすらぎ」の地域の新しい特産品である環境閉鎖型の陸上で養殖したトラウトサーモンである。このプロジェクトでは、ゆたからサーモンが広く認知され、ゆたからサーモンを通じて阿賀野市が活性化すること、ゆたからサーモンが阿賀野市を代表する名産品=ブランド品となり、阿賀野市に訪れるきっかけになってもらうことを目指す。
安田温泉やすらぎの常務取締役の木村正人氏は、「儲かる儲からないではなく、このプロジェクトによりゆたからサーモンが世に広まるきっかけになればいいと思う。今回は楽しみにして出席させていただいた」と冒頭の挨拶を行った。
報告会では同学の6人の学生が地域連携チーム、販路拡大チーム、広報宣伝チームに分かれ、ゆたからサーモンの外部状況などの背景の分析、それぞれの提案を発表した。
発表を行った同学の学生はゆたからサーモンの背景、外部環境などの分析から「現在の日本の食生活は魚より肉のほうが需要が高まっており、これにより魚の需要が減少している。しかしサケの購入量は減少が緩やかで、養殖生産量の増加によりサケマスの生産量が増加しており、さらに今の消費者は塩蔵よりも生鮮のサケを好むことから生鮮の養殖のサケは需要がある」との見解を示した。
さらに学内で競合調査、食味調査を行うなどして、
・ゆたからサーモンは色が鮮やかで食感が良いサーモンであり、若者よりも中高年に好まれるサーモンである
・価格は他のブランドサーモンと比べると100gあたりの金額がやや高めであるが、販売価格で見ると手を出しやすい価格設定ではないかと考えられる
・販路も少ないが、認知されれば継続して購入してもらえることが予想される
・販売促進についてはゆたからサーモンの認知度が現状、そこまで高くないため、購入者を増やすためにも力を入れる必要がある
と分析した。
続けて分析の結果から以下の3つの提案を行った。
6つのコラボレーションによる地域活性化
地域連携チームは、養殖サーモンの競合と比べるとゆたからサーモンの認知度が低いことから、多くの企業とコラボレーションをすることで多くの企業に利用してもらうことができ、若者・中年層への認知を拡大させることを目的に阿賀野市の五頭山ひよころ鶏園(卵)、丸三安田瓦工業(皿)、脇坂園芸(エディブルフラワー)、コトヨ醤油醸造元(醤油)、神田酪農(チーズ)の5つの企業を挙げた。また、上記の商品を掛け合わせることにより出来上がる新しいサーモンの舟盛り「丸ごと阿賀野盛り」を6つ目のコラボレーションとして提案した。瓦でできた皿にゆたからサーモン、エディブルフラワーを使用することで写真映えにも繋がり、残ってしまいがちなツマを薬味用のエディブルフラワーにすることで楽しんで食べてもらいフードロスも解決できると考えた。
興味を引きやすい弁当の開発
販売拡大チームは、若者から高齢者まで幅広い年代にゆたからサーモンを知ってもらえるとともに、安田温泉に来てもらう機会を作るためにはそのきっかけが必要であると考えた。販売促進と販路拡大の視点から「弁当」の開発・販売を行うことで、安田温泉の宣伝になり、実際に食べてもらえる機会ともなりうると考えた。提案された弁当は、既存顧客向け(やすらぎ温泉)に「塩麹漬けゆたからサーモン弁当」、「ゆたからカルパッチョ弁当」、新規顧客向け(百貨店・スーパー、駅など)に「ゆたからサーモン生カツ弁当」、「阿賀野市の瓦テラスとのコラボ弁当」が挙げられた。
マーケティング・コミュニケーション
広報宣伝チームは、これまで紹介したコラボ企画だけではゆたからサーモンの認知を拡大することが難しいと考えた。レシピ提案やインターネットを利用した販売促進活動を行い、SEO対策をしてホームページのアクセス数や頻度を増やす、消費者が求めている情報に辿り着きやすいホームページへの改善、若年層向けのインパクトのあるPR動画の作成を行うことで売り上げの向上、ブランドの醸成が可能だと言及した。
発表を終えて同学の学生は「新型コロナウイルスの影響で難しい部分もあったが、今まで学んできたことを使って何かをやるという機会がいただけて良かった。質問に対して説明できない点もあったので、今後このような活動をする際にはもっと考えて前向きな質問がいただけるようにしたい」と話した。
同学のビジネスコース長の武本俊彦氏は「本学は開学して3年、今年初めての試みだったため教員側も慣れていない部分もあったが、今日の貴重なご意見を踏まえ、さらに進歩発展をしていく」と最後の挨拶とした。
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