【独自】(株)オックスが設立33年目にして立ち上げた自社ブランド「Being you」、余剰生地を利用して作る無駄のないオーバーオール

オーバーオールの例

株式会社オックス(新潟市東区)は、縫製業を営む設立33年目の会社である。

コロナウイルス感染拡大の影響を受け、アパレル業界は大きな打撃を受けた。縫製業を営むオックスも例外ではなく、経営は苦境に立たされた。

そんな中、オックスの藤井美水代表取締役は自社ブランド「Being you」を5月に立ち上げた。セミオーダーメイドで生地の指定からできて、機能性とファッション性の両立がなされているのが特徴だ。

生地は通常業務の縫製作業で出る余剰生地を使いオーバーオールなどの作業服の作成を行う。元々、良質な生地を使用するため、着心地も良く、劣化しにくく機能性も高い。

こうした商品を作ろうと思った背景には会社の苦境を脱出するためだけではなく、藤井代表取締役自身が趣味の家庭菜園で農作業を行う際に、農作業着を見てもっとお洒落で機能性の高い服が欲しいと着想を得たのがきっかけだという。

「よく着られている農作業着がだめだってわけではない」と藤井代表取締役は前置きとした。しかし、ファッション業界に身を置く、藤井取締役には物足りなったのだという。

「ここにポケットがあったらな」や「もっと色彩豊かなものを着て、テンションを上げて作業がしたい」など、職人魂が疼いたのだという。

縫製作業の様子

続けて、藤井代表取締役は、「ぱっと、こういうものを着たいなというものがなかったから、じゃあとりあえず、こんな感じのものを作ろうか」と自社ブランド「Being you」を立ち上げるきっかけになった出来事を話してくれた。そこから様々なタイミングが重なり、5月に自社ブランドを立ち上げる運びとなった。

藤井代表取締役は、「私たちが仕事を頂いているメーカーさんでも、今売れなくて苦しんでいる。だから、私たちみたいな1工場が挑んで何になるよって思いはあった」と語る。

続けて、「あれだけ色々手を尽くしているデパートに出店している人たちが売れない、売れないって苦しんでいる。人員整理って騒いでいるのを見て、卑屈になっている時期もあった」と話す。

しかし、その後、周囲の助けもあり徐々に考え方を前に持って行けたと、藤井代表取締役は周囲に感謝していた。
技術はあるけど、発信力に自信がない。技術はあるけど、営業に自信がない。

きっと、こういった悩みを持つ企業は少なくないと思う。しかし、時代がそのままでいいよなどと甘い言葉を掛けてくれるわけもなく、変革を促す。ある企業は諦める、ある企業は新しい取り組みを始める。オックスは後者だった。

藤井代表取締役は語ってくれた。

「商売の仕方って、今が転換期な気がする。本当に必要とされるものを作るっていうのが1番だと思う。今はセミオーダーメイドのオーバーオールを作っているが、これからはTシャツや洋服にもチャレンジしていきたい。無駄のない服作りをしたい」と話した。

続けて、「生地を選ぶ人の思いって乗ると思うし、作る人もその人に喜んでもらいたいって思いが乗ると思う。誰のために作られたかわからないものより、そういうものの方が嬉しいと思う」と信念を語ってくれた。

保管されている余剰生地

株式会社オックス(新潟市東区)

 

(文・撮影 児玉賢太)

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