新潟の農家でも広がりを見せている「農系ポッドキャスト」
近年、音声メディアとして「Podcast」が世界的に注目を浴びており、広報の手段として利用する企業や、新たな媒体として配信を行うメディアも多い。そんな中、農家がPodcastを配信する動きが広がり始めており、新潟県内でも配信者が生まれている。
新潟市で柿農家とフォトグラファーを兼業しながら、Podcast番組「ウチら夫婦のぐだぐだな話」を配信するあっき〜氏によると、野外での作業時間が長い農家は作業中にラジオを聞くことが多く、類似した音声メディアであるPodcastも若い農家の間で普及しつつあるという。
「私自身もそうしてPodcastを聞く内に、『自分でも配信をしてみたい』と考え始め、子育てなどで多忙になり失いかけていた夫婦間の雑談の機会を作る意味も込めて、配信を始めた」(あっき〜氏)。
「ウチら夫婦のぐだぐだな話」の配信開始は2019年11月。基本的には月曜日と木曜日の週2回配信を続けてきた。配信についてあっき〜氏は「自分は音声に関しての知識が何もない状態で始めたが、印象よりも配信は簡単だった」と話す。そして配信を続けてリスナーが増えていく中で、「(あっき〜氏の)栽培している柿はどこで買えるのか?」というという問い合わせが県外からも寄せられるようになり、「やってみようという気持ちで続けてきたが、最近は自分の育てている柿を少しでも多くの人に知ってもらいたいという気持ちも大きくなってきた」という。
農家の配信するラジオは全国で計25番組以上。新潟県内でも、「ウチら夫婦のぐだぐだな話」を始め、江南区で「越後姫」を栽培するSHOKURO氏が配信する「Styleこそ全て」などの番組が配信されている。こうした動きには、Podcastを運営する内の1社であるAppleも注目し、2021年1月現在には、日本版トップページに「農系ポッドキャスト」の特集も組まれている。
さらに、株式会社ニッポン放送と音楽ストリーミングサービス「Spotify」が共同主催する「JAPAN PODCAST AWARDS 2020」には、農業系ラジオ「ノウカノタネ」が大賞にノミネートされるなど、プロの制作するコンテンツにも劣らないクオリティと人気を誇る作品も多い。
あっき〜氏は、通常ならば知り合いようもなかった遠隔地の農家同士の繋がりが生まれることも配信の魅力だと語る。配信側が農家であることから、親しみや同業者ならではの刺激を受けるのだという。2020年12月には農家配信者同士のオンライン会合が開かれるなど交流も盛んで、今後は毎月1日に同時投稿を行うことが計画されているなど、配信者共同でこのジャンルが盛り上げられていくことが期待される。
音声コンテンツは動画と異なり、作業をしながら楽しむことができる点が大きな魅力と言える。また、編集などの手間の差から、配信へ参入する難易度も比較的低い。農業王国であり、かつ車社会である新潟県でも今後は成長が見込まれる分野だ。
【関連リンク】
「ウチら夫婦のぐだぐだな話」 Apple / Google / Spotify
「Styleこそ全て」 Apple / Google / Spotify
農系PODCAST総会議 第1夜