原子力改革監視委員会が会見、新潟県柏崎刈羽原子力発電所職員が他人のIDカードを利用していた件にも言及
東京電力ホールディングス株式会社は27日、同社取締役会の諮問機関「原子力改革監視委員会」の会合を開き、終了後に記者会見を行った。委員会の会合は2020年2月4日から約1年ぶり、計18回目となる。
委員会は非公開で行われたが、会合後に提出された「原子力安全改革プランの進歩等に関する監視結果について(案)」によると、「(東京電力ホールディングスの取り組みは、)自己評価が強化され、自組織の弱点の抽出と改善が図られている」としつつも、「『安全はすでに確立された』との思い込みが福島原子力事故の最大の反省であることを決して忘れることなく、これまでの原子力安全改革の成果を組織文化として根付かせ、今後も安全を強化し続けることを求めたい」と結論している。
また、柏崎刈羽原子力発電所の中央制御室へ他人のIDカードを使用して入手つしていた職員がいたことが発覚したことから、前述の監視結果はあくまで現状では「案」とし、今後セキュリティに関する課題を検討していく必要があるという。
会見は新型コロナウイルス感染対策の観点から、東京電力ホールディングス本社、新潟市会場、柏崎刈羽、福島市会場、青森市会場の5会場と、原子力改革監視委員会デール・クライン委員長、櫻井正史委員をテレビ電話で繋ぐ形式となった。
櫻井委員は「柏崎刈羽に関しては、安全設備が工事が着々と進められていると聞いている」と東京電力の取り組みを評価しつつも「『リスク0』はあり得ず、どういったグループや規則を作っても対応できない事態は起こりうる。そういったものの基本は人間であり、技術面は当然として、社員への教育や外部内部両面とのコミュニケーションを東京電力にはしっかりやってもらいたい」と技術と人的な面の両面の一層の安全強化を東京電力へ求めた。
またデール・クライン委員長は、2020年8月に死去したバーバラ・ジャッジ副委員長に哀悼の意を示しつつ「委員会へ新たに2人のメンバーを加入させることを検討している。技術面で優れた知識を持つ委員と、(内外との)コミュニケーションに優れた委員が必要」と委員会の今後についても言及した。
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