国会議員の奮起に期待、「北朝鮮による拉致問題を考える巡回パネル展」が新潟県妙高市で開催
「北朝鮮による拉致問題を考える巡回パネル展」が新潟県妙高市「道の駅あらい」のくびき野情報館で12日まで開催されている。時間は9時から21時までで、入場は無料。
会場には、拉致被害者の横田めぐみさんの写真、曽我ミヨシさん、ひとみさんの写真などが展示されているほか、横田めぐみさんの夫、娘との3人の秘蔵の家族写真もある。
首相官邸ホームページによると、2002年9月17日、北朝鮮の首都・平壌(ピョンヤン)で行われた当時の小泉純一郎首相と、金正日(キム・ジョンイル)総書記による日朝首脳会談で、北朝鮮側は長年否定していた日本の拉致を初めて認めて謝罪し、再発の防止を約束した。
現在、日本政府は17人の日本人を北朝鮮による拉致被害者として認定しており、そのうち5人については、2002年10月15日に24年ぶりの帰国が実現した。家族は2004年5月、7月にそれぞれ帰国した。
しかし、残りの安否不明者は、2004年5月22日に平壌で行われた第2回日朝首脳会談で、北朝鮮側から「直ちに真相究明のための徹底した調査を再開する」との明言があったにもかかわらず、いまだに北朝鮮当局から納得のいく説明がなされていない。日本政府はすべての拉致被害者の安全確保と、即時帰国などを強く要求していくという。
拉致被害者の蓮池薫氏は、以前の新潟県柏崎市での講演会で、「北朝鮮は残りの日本人の拉致被害者は死亡したと嘘をついている。韓国は日本の植民地時代の賠償金をもらっているが、北朝鮮は国交がないため、賠償金をもらっていない。北朝鮮はお金が欲しいので、国交を結んで、いい関係をつくるために早く被害者を返してもらいたい。北朝鮮のトップの判断ですぐにできるものなので、3日あれば帰って来られる」と語っている。
また、「救う会新潟」の高橋正会長は、「岸田文雄総理には北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記とのトップ会談を何としてでも実現してもらいたい。日朝首脳会談をやらなければ、拉致問題は解決できないと思う」と語っており、やはり政治の力、それもトップレベルのものが必要であろう。
しかし、横田めぐみさんの弟である横田哲也さんは以前の新潟県長岡市での講演会で、「安全保障というテーマは、国会議員にとってはあまりプラスにならないと言われている。つまり、安全保障では票にならない。こうした国会議員の関心が薄いことが、問題が解決しない理由ではないかと思う」とある意味で核心を突く話をしており、国民の関心の風化の懸念のみならず、国会議員の本気の取り組みが求められる時期に来ているといえるのではないだろうか。
(文・撮影 梅川康輝)