【妻有新聞】十日町市飛渡第一小、小規模校の良さ 飛渡川でサケ生態調査、地元農業者を先生に

サケ生態学習でJR東・宮中取水ダムで説明を受ける飛渡第一小児童(11日)

全校11人、自然たっぷり、住民総ぐるみ教育

新潟県十日町市で最も児童数が少ない十日町市立飛渡第一小学校(近藤博道校長)。1年生3人、2年3人、4年2人、5年2人、6年1人の全校11人。だが小規模校ならではのフットワークの良さ、自然環境など地区内の財産を活かした「ふるさと学習」に力を入れ、自分たちが住む地域をより深く知る活動を続けている。昨年は家電メーカーのパナソニック主催「キッド・ウィットネス・ニュース(kwn)」日本コンテストで地域学習の様子を写した作品が最優秀賞に次ぐパナソニック社員賞を初挑戦で獲得するなど関心を集める。今期も自作野菜の地域直売所販売、水田作り、さらにサケ生態学習や稚魚育成などに取り組む。住民の協力を経て地域に入り子どもたちが実践する活動が注目を集めている。

12年前から継続する、サケの稚魚飼育と飛渡川への放流。今期も継続し、「サケの生態について理解を深める学習」として11日は、清津川右岸の中魚沼漁業協同組合(村山徹組合長)と宮中取水ダムの魚道を見学し、サケの生態を学んだ。現場見学は今年で3年目になる。同組合の生け簀には、宮中ダムで捕らえたサケ、育成中のヤマメやイワナ、ニジマスの生態を村山組合長(79)が解説。「皆さんが食べるサケの身は赤色だが、本当は白身。プランクトンや甲殻類をどんどん食べ、その色素が体に付く。ただ遡上するサケはエサはいっさい食べないから、色が着く前に戻ってしまう」など、自然界の不思議を語った。6年の加藤遼くんは「サケの身の色が本当は白いって初めて知りました。勉強してサケのこと、もっといろいろ知りたいな」と興味深そう。

一方、宮中ダムでは魚道観察室やトラップ調査の様子を見学。サケトラップが上がる正午。徐々に上がる柵には1㍍余のサケが入っており、水しぶきを上げるのを見て「でっかーい」と歓声。みな興奮し生きたサケに見入っていた。4年の井嶋銀造君は「僕が1年生の頃に放流したサケがそろそろ帰って来る時期と習いました。たくさんのサケが確認できるといいな」と話した。

児童たちは刈った稲を運びコンバインで脱穀した(4日)

学校教育に地域住民が積極的に関わるのも同校の特徴。4日は地元農家の大津貴夫さん(49)ら11人の住民を先生役に、学校下の田んぼで全校稲刈り。鎌の使い方を習い、ザクザクと心地よい音を立てて次々に刈った。刈り終えた稲はワラ細工授業や小正月のどんど焼に使用する。5年の庭野楓さんは「毎年田植えをして生育観察をしていますが、今年の稲は実がパンパンに詰まっていて良い米だと思います。みんなで食べるのが楽しみ」と嬉しそう。収穫米は来月10日の「とおか市」で販売する。

小規模校ならではの多彩なふるさと環境学習。近藤校長は「全校で地域の自然環境を学び共有する機会は小規模校にしかできず、飛渡第一小の大きな強み。地区内外での実体験が学習の土台となっており、大人との関わりがコミュニケーション能力向上にも繋がっている」と住民協力に感謝する。なお同校は今年も日本コンテストへの応募を検討している。

 

妻有新聞 2022(令和4)年10月15日号】

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