新潟市内企業が連携して進める脱炭素社会実現のための事業が発表

「新潟地域脱炭素社会推進パートナーシップ会議」合同記者会見の様子

新潟市と新潟市地球温暖化対策地域推進協議会は、地域の事業者が主体となって自立分散型再生可能エネルギー大量導入の仕組みづくりを目指しており、令和2年からは地域関係者間による情報共有や協議などを目的とした「新潟地域脱炭素社会推進パートナーシップ会議」を開催してきた。

同会議は2日、令和2年の協議テーマ「環境と経済の好循環」を締めくくる形で、新潟市東区役所内「東区プラザホール」にてシンポジウムを開催。シンポジウムの最後には、参加企業が今後取り組む重点強化事業についての合同記者発表が行われた。

再生エネルギーや分散電源の分野は現在、太陽光や風力発電単体で完結するものではなく、電気の安定供給のための火力発電や蓄電池といった「調整力」、電気自動車(EV)やゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)といった技術なども関わり複雑化している。さらに、SDGsやRe100といった国際的な価値観の台頭や、補助金などの金融手法も関係してくることから、電力・エネルギー企業が1社単独で脱炭素を進めるには限界が存在し、異業種同士の連携(アライアンス)を欠かすことはできない。

「新潟地域脱炭素社会推進パートナーシップ会議」はこうした理由から、県内外の31団体から結成された。会議ではこれまでに、他県の事例から都市部・農村部の脱炭素事業の研究などを行ってきた。

運営事務局を務める株式会社イーエムエスの品田秋成主任研究員

今回の記者会見では、脱炭素経営支援プラットフォーム事業、0円ソーラー事業、木製チップを活用した熱供給事業の調査の3事業を発表した。1つ目の支援プラットフォーム事業は、脱炭素経営を目指すための具体的な手法を見出せない企業へ相談の窓口を提供するものである。地元事業者・団体からの情報提供のもと、脱炭素へ向けた削減目標の設定から、アライアンス形成のためのビジネスマッチングなど、多様な面で市内企業の脱炭素化を支援するという。

0円ソーラー事業は、初期費用をかけない太陽光発電設備導入の普及を目指すもので、株式会社イーエムエス、越後天然ガス株式会社、株式会社千代田エネルギー、株式会社テクノナガイ、新潟スワンエナジー株式会社、株式会社パルコミュニケーションズの市内6社が協力する。

いわゆる「0円ソーラー」の方式には、先用後利で使った分だけ電気料金を払うものや、定額のサービス料を払うリース方式などがあり、神奈川県や京都市など各地で普及に向けた取り組みが進められているが、前述のように地元事業者が主体となって取り組むのは全国的にも非常に珍しいという。

3つ目の木製チップを活用した熱供給事業は、一般社団法人おらってにいがた市民エネルギー協議会により発表された。おらってにいがたの長崎清一代表代理によると「日本のエネルギー供給量のうち、電力(発電)に用いられるのは約半数で、残り半数は熱や動力を生み出すために用いられていることから、電力以外の脱炭素化も進めなければならない」という。

同事業は、小規模なボイラーを各施設へ設置し、森林間伐などで発生するチップやペレットを燃料に使用することでカーボンニュートラルを実現しようとするもので、林業振興や山間地コミュニティの維持といった効果も狙っている。現在は、木質チップの供給の調査や、木質チップとボイラーを導入した際のメリットのモニターを募集しているようだ。

 

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