東京商工リサーチが2020年倒産企業を調査、新潟県の倒産企業の内老舗の割合は全国トップに
株式会社東京商工リサーチは3日、2020年に倒産した“老舗(業歴30年以上)”の企業についての調査結果を発表した。都道府県別の統計では、新潟県は倒産企業の内約6割が“老舗”企業で、構成比では全国トップとなった。
この調査は、2020年に全国で倒産した7,773件(負債1,000万円以上)のうち、創業年月が不明の1,182件を除く、6,591件を対象に分析している。
2020年に倒産した企業の全国平均寿命は23.3年(前年は23.7年)で、2年連続で前年を下回る結果となった。この結果に関して東京商工リサーチは、2019年は深刻な人手不足と消費税増税、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大で経営環境が大きく変化したことを要因に挙げる。
全倒産の内、業歴30年以上の“老舗”企業の構成比は32.5%(同32.4%)で前年から0.1ポイント上昇。一方で業歴10年以下の“新興”企業の構成比は27.4%(同26.7%)で前年を0.7ポイント上回り、4年連続で過去最高を更新した。“老舗”企業の構成比は地区別では四国が48.1%(同48.4%)で7年連続最高。都道府県別では新潟県が60.8%(同56.7%)で3年ぶりのトップとなった。
東京商工リサーチは、“老舗企業”は長い事業経験と金融機関や取引先とのパイプの太さから、新型コロナなどの不測の事態への対応力が備わっており、増加率が抑えられていると分析する。一方で過去の成功体験から、外部環境の変化への柔軟な対応力に欠ける企業や、また経営者の高齢化から、業績悪化や事業承継・後継者問題に直面する企業も増えているという。
“新興”企業に関しては「政府の創業支援を背景にしながら、ずさんな経営計画による創業も少なくない。経営基盤の脆弱さ、業績の低迷に加え、コロナ禍の厳しい事業環境への耐性の弱さを露呈した格好となった」とコメントした。
産業別の寿命では、製造業が33.4年(前年34.9年)で最長。一方で、情報通信業が14.9年(同16.7年)で最短。差は18.5年で、前年の18.5年からやや広がる結果になった。製造業でコロナ禍で倒産した企業は、業績低迷や資金繰りに余裕がない小・零細企業が多い。また業歴10年未満の企業の構成比トップの情報通信業は、小資本でも創業が容易なソフトウェア開発などが多いようだ。