爪機能の改善で健康になる、新潟から世界を見据えるネイルスタジオA(エース)・末廣亜紀さん

ネイルスタジオA(エース)の代表を務める末廣亜紀さん

身体の健康を考える際、意外と後回しにされがちなのが爪である。一方、爪は指先の保護をし、物をつかむときや歩行の際、身体にとって重要な役割を果たしている。

NPO法人日本ネイリスト協会が発行している「ネイル白書2020」によれば、ネイルサロンを中心とする「ネイルサービス」の市場規模は、2019年が1,736億5,000万円、2020年が1,753億円と予測されている。これにドラッグストアなどで販売されている「消費者向けネイル製品市場」と「ネイル教育市場」を合わせたネイル産業全体の市場規模は、2019年が2,321億円、2020年が2,344億円と予測され、ネイル産業は緩やかではあるが、拡大を続けている。市場拡大の一因として、同書は、自分自身や近親者向けにネイルを楽しむ「セルフネイラー」や「ホームネイラー」の増加をしている。その一方で、未熟な技術や知識をもって施術を行うことにより、トラブルを増加させてしまう問題なども指摘されてきた。

爪機能改善士として、爪のボディケアを行いつつ、爪機能の重要性を世間に説くのが、ネイルスタジオA(エース)(新潟県長岡市)の代表を務める末廣亜紀さん(49歳)である。県外在住だった末廣さんが長岡市にやってきたのは2002年のこと。市内でネイルアーティストとして働きはじめたという。ネイルアーティストの主な仕事といえば、爪に装飾を施したり、形を整えたりすること。そのため開業当時は、爪の身体的な機能や健康面での影響などについてはほとんど考えなかった。そんな末廣さんが、爪の身体的な機能に目を向けるようになったのは、一人のクライアントから受けた相談がきっかけだったという。

当時、「サッカーをしていた小学6年生の息子の足の爪の様子がおかしい」と相談を受けたのである。爪に関する医学的な知識がなかった亜紀さんは、「一緒に学ばせてもらうつもりで」悩み解決のために奔走したという。「サッカーをされていたので、(プレーを)そのまま無理せず続行させたい」との想いを胸に、よりよい爪の改善方法を「トライ&エラーで考えた」。そのために、改めて解剖学から学ぶことからスタートしたという。ときには、アメリカで発表された爪に関する最新の研究論文を、辞書を片手に何日もかけて日本語に直しながら、学んでいったという。この経験が、後に爪機能改善士として活動する第一歩となった。

以来、自身のサロンや出張先などで爪切りや巻き爪のケア施術をする傍ら、月に1度のペースで、子どもから高齢者、アスリート(スポーツ選手)の爪に関するトラブルや悩み談や対応などを行う「爪のお悩み相談室」も開催した。一方で、県内各地で爪のケアや健康にかかわる講演活動なども続けてきた。現在、ニッパーや爪切りなどの製造を行ってきた株式会社マルト長谷川工作所(新潟県三条市)とタッグを組み、マルトメソドロジーマスターエデュケーターとして、爪切り・爪ケアの教育プログラムの考案も行っている。

また、最近では、爪コンディショニングトレーナーとして、野球選手やサッカー選手などのアスリートたちのボディケアも行っている。2020年からは、ミス・アース・ジャパン新潟大会のビューティートレーニング講師も務める。まさに、全国各地を東奔西走する忙しさである。

現在、「爪と筋肉」「爪と骨」というように、他の運動機能との連携についても研究している末廣さんは、世界をも見据えた活動の展開を考えている。今後も「爪と健康」をテーマに、SDGsなどを意識した商品開発などしていきたいという。無農薬野菜などを活用した「食」とのコラボレーションも計画中である。爪機能改善士としての長年の経験から「自分の使いたいものが世界の人が求めているだろう」と語る姿は実に凛々しく、常に自信に満ちていた。

末廣さんが薦めるMARUTO ネイルニッパー。刃先が薄くてとても丈夫である

末廣さんが代表を務めるネイルスタジオA

(文・撮影 湯本泰隆)

こんな記事も

 

── にいがた経済新聞アプリ 配信中 ──

にいがた経済新聞は、気になった記事を登録できるお気に入り機能や、速報などの重要な記事を見逃さないプッシュ通知機能がついた専用アプリでもご覧いただけます。 読者の皆様により快適にご利用いただけるよう、今後も随時改善を行っていく予定です。

↓アプリのダウンロードは下のリンクから!↓