「120年間“ものづくり”の精神脈々と卒業生から在校生へ」品田隆氏が母校の県立長岡工業高校で記念講演

在校生を前に高校時代に自身が制作した記録映像を見せる品田隆氏の講演会

一般社団法人新潟県立長岡工業高等学校同窓会(山下進会長)は22日、創立120周年記念式典を新潟県立長岡工業高等学校(新潟県長岡市、長井英幸校長)体育館で挙行した。同式典では、昭和51年に機械科を卒業し、現在、立命館大学映像学部で教鞭を振るっている品田隆氏(68歳)を講師として迎え、学校関係者、在校生と対象に「進化する映像は時代と共に人の心を動かす」という演題で記念講演会を開催した。

生家が長岡市内でミシン屋を営んでいたことから、同高校へ進学した品田氏が同校を訪れるのは実に46年ぶりのことである。校舎の様子は様変わりしたが、配置がほぼ一緒だったため迷わず体育館にたどり着けた。品田氏が映像の分野に進むきっかけになったのは、ある日父親と買いにいった8ミリカメラ。以来、父親にいわれるまま撮影をしたり編集をしたりするうちに、自分の編集した映像を他人が見て楽しむことに喜びと楽しみを覚えたという。

同校文化祭で、当時廃線が決定した栃尾鉄道の記録映像を上映したことがきっかけとなって、映像の勉強を志すようになったという。品田氏は講演の中で、「若い人は失敗を恐れないでほしい」「自分の感性を大事にしてほしい」などのメッセージを送り、「キーワードはやっぱり“ものづくり”。自分は映像の分野に進んだが、“ものづくり”の精神は長岡工業で学んだ。是非クリエイターの卵として、専門性を持った“ものづくり”を皆さんには目指してほしい」などと在校生に熱いメッセージを送った。

文化祭での上映当日の朝まで何日も徹夜をして映像を完成させたという品田氏。それに比べて今の時代、誰もが簡単に動画を編集し、インターネット上などに公開できる時代になったことに対してどう思うか、という記者の質問に対して品田氏は「今の時代、映像がパーソナルなものになっていっていて、それ自体は良いことだと思う。その一方で、映像に対して規制があるようでない野放図な状態になっている。映像は武器にもなりえる。昔は映像を作る側は限られていたが、倫理観や社会性を持っていた。今は自分で自由に発信することができるため、ハードルが低い分、(発信する側は)気をつけなければならない」と語った。

式典のあとは、パストラル長岡(新潟県長岡市)にて交流懇親会が行われ、前日のゴルフコンペの授賞式が行われたほか、様々な出し物が催され、関係者同士がそれぞれ親睦を深めた。同窓会会長で120周年記念事業実行委員会の実行委員長でもある山下進委員長(76歳)は「今回の式典を(同窓会と)在校生の皆さんと一緒にやれたのは、110周年の式典のときにはやれなかった(世代を)“繋げてゆく”という意味において、非常によかった」と式典成功の喜びを語った。

交流懇親会で式典成功の謝辞を述べる山下進委員長

パストラル長岡で同窓生一同記念撮影

(文・撮影 湯本泰隆)

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