大学生が新潟県加茂市の企業のプロモーション動画を作成、企業紹介で地方移住を促進
新潟県加茂市は25日、新潟経営大学と新潟県立大学に通う学生が制作した市内4事業所のプロモーションビデオの上映会を開催した。加茂市への移住を促進する事業の一環であり、取材から撮影、編集まで学生が携わった。制作したPVは年度末までに市が公開する特設サイトに掲載予定。
同事業は今年度初の取り組みであり、市が6月から募集を開始。前述の2大学から13人が参加した。藤田明美市長は「新潟県全体で若者の転出が多くなっており、加茂市はその筆頭。移住促進には力を入れている」と話し、その上で今回の事業について「学生の視点を取り入れて市内の事業所の魅力を引き出し、移住を検討している人へしっかりと情報発信をしたい。移住を検討する人にとって、やはり働く場所があるかどうかは大きなポイント。今回の企業PVは移住促進に大きく寄与すると考えている」と期待を寄せた。
PV制作には、靴下製作の株式会社山忠、伝統木工の株式会社大湊文吉商店、果樹園の西村農園、そして株式会社割烹山重と多様な業態の事業所が協力。学生たちはそれぞれの班に分かれ、PVのシナリオ考案から取材と撮影、そして動画の編集まで携わった。中には4回も取材を重ねた学生もいたという各映像作品は、いずれも仕事に携わる人々の理念や情熱を色濃く反映する内容となった。
完成したPVを観た大湊文吉商店の大湊陽輔代表は、自社の狙う市場が東京や全国・世界にあることや、伝統的な製作物に捉われず技術の継承を重視していることを挙げながら「地元の人間だと、『桐箪笥に使う技術が…』などの話ばかりになってしまう。これまでにも(地元に捉われるような)『枠』を外した方がよい市などに言ってきたが、学生たちは先入観が無いため、素直にカッコよさや面白さ、難しさを理解してくれた」と評価する。
同社のPVを製作した県立大学の馬場さんは「自分の中では素直な気持ち過ぎて、もっと考えた方がよかったかと不安だったが、そう評価してもらえるのは嬉しい」と胸を撫で下ろした様子。また、「まだ構想段階だが、卒業研究では、どうしたら若い人たちが地方の行政へ目を向けるのか、ということを考えたい。今回の経験を参考にしたい」と語った。
同じく大湊文吉商店の動画製作に関わった経営大学の田中さんも「動画編集ソフトを使うのも、企業へのインタビューも貴重な経験だった。今後も、今回のPVをSNSで発信していきたい。そしてその結果を卒論に反映したい」と意気込んだ。