新潟県五泉市で「災害時における電源車両の提供を目的とした災害時に関する協定」の締結式が開催
新潟県五泉市は27日、ラポルテ五泉(新潟県五泉市)で、災害時における電源車両の提供を目的とした災害時に関する協定を、三菱自動車工業株式会社(東京都)および五泉三菱自動車販売株式会社(新潟県五泉市)と締結した。加えて、今回の締結式では五泉市および五泉三菱自動車販売と五泉市の協力事業者との締結式も同時に開催された。
今回の協定は、非常時電源として注目される三菱製ハイブリッド車「アウトランダーPHEV」が有する給電能力を利用し、五泉市が被災した時に非常時電源として、三菱自動車工業および五泉三菱自動車販売側がアウトランダーを派遣し提供するという協定。加えて、同時に開催された協定では、アウトランダーを自社で有する五泉市の事業者が被災時に、自社所有のアウトランダーで給電を実施するという協定だ。
締結式では、最初に五泉市、三菱自動車工業、五泉三菱自動車販売の代表者が調印を交わした。続いて、五泉市および五泉三菱自動車販売と五泉市内の協力事業者が調印を交わした。
調印が終わると、ラポルテ五泉に駐車された各事業者が所有するアウトランダーの前に移動し、実際に給電する様子が公開された。デモンストレーションとして、アウトランダーから給電される電力を使って炊飯器を動かすデモンストレーションが行われ、炊けた白米を五泉市の田邊正幸市長と三菱自動車工業の若林陽介執行役員が試食した。見事に炊けた白米を二人は頬張っていた。
アウトランダーでは、駆動用のバッテリーからV2H機器と呼ばれる蓄えた電力を流用し住宅で利用できるように変換できる機器を経由することで、最大約12日分(一般家庭での使用電力量を約10キロワットアワーとして算出。V2H機器などの変換効率は含まない)の電力が給電可能。また、搭載されているエンジンでも発電が可能だという。室内も広く、非常時の防災基地としての活躍が期待されている。
田邊市長は「災害による被災地の避難所運営には様々な課題がある。特に、停電時の対応、避難所の冷暖房の有無、携帯電話の充電や電源確保などに関する内容が多く指摘されている。このようなニーズに応えるためにも、三菱自動車の皆様との連携に努め、電動車両の技術を活用する事は大変意義のあることだと思っている」と話した。
三菱自動車工業の若林執行役員は「当社は2019年の8月から全国の自治体の皆様と災害時の協定を結ぶ取り組みを行ってきた。今回の式典では、五泉市内の企業や団体の皆様による協定も結ばれる。このように地域に根差す皆様が力をあわせて実現するという取り組みは、我々も全国で取り組みを進めてきたが、初めての取り組みだと思う。この我々のPHEVが皆様のように社会貢献意識の高い人たちに採用していただいたことが、大変嬉しい」と語った。
五泉三菱自動車販売の齋藤哲博取締役副社長は「五泉市には、災害時に車をぜひ使ってくれという志が高い企業がたくさんいる。これは五泉市にとっても、市民の皆様にとっても我々販売会社にとっても非常に勇気付けられることなのではないかと思う」と話した。