【独自】50年間毎年来ている人もいる、来年3月まで予約が埋まるという全国の富裕層に愛される赤倉観光ホテル(新潟県妙高市)
長引くコロナウイルス禍で観光・ホテル業界は厳しい経営環境を余儀なくされている中、上越地域では新潟県妙高市の赤倉観光ホテルが大人気だ。全国の富裕層に愛され、スキーシーズンである来年3月の第3週まで予約で一杯だという状態である。「私達はコロナ禍を言い訳にしないというのが合言葉」と話す赤倉観光ホテルリゾート&スパの後藤幸泰統括支配人に人気の秘密を聞いた。
赤倉観光ホテルは、2020年4月、5月が一部のみの営業で打撃を受けたものの、6月には県民割、8月からはGoToトラベルキャンペーンで回復した。赤倉観光ホテルは6月期決算のため、2020年6月から1年間は前年比100%で推移。2021年6月から1年間も前年比100%をキープ。2022年6月からは前年比110%と2ケタ増を達成しており、後藤統括支配人によると、今年の売り上げはコロナ禍前に戻っているという。隣接するゴルフ場も好調で、コロナ前比115%とこちらも2ケタ増を記録している。
また、10月11日にスタートした全国旅行支援(全国旅行割)について後藤統括支配人は「1日半で予算に達したので、直接的な予約の増加にはつながらなかった。従来の予約客からの変更があったのみです」と語る。
ところで、赤倉観光ホテルの1番のウリは眺望。ホテルは妙高山山腹の高台にある。新潟県新発田市出身の実業家・大倉喜八郎の息子の大倉喜七郎が創業したものだが、眺めを重視し、他に建物が建てられないように、山腹の下の土地はすべて私有地とした。この部分がスキー場となっている。
赤倉観光ホテルは、2008年に本館をリノベーション。眺めをよくするために窓を1.5倍に大きくした。いわゆるクラシックホテルという部類に入るが、特に女性客には水回りが古いと嫌われるので新しくした。
後藤統括支配人は「都会の高級ホテルのように、カチッとしたサービスではなく、リゾートホテルなのでフレンドリーな接客を心がけている。言ってみれば、『おかえりなさい』という感じだ。リピーター客が多く、名前も知っている人が多い。50年間毎年来ている人もいる」と話す。
また、後藤統括支配人はポイントとなることを教えてくれた。
「都会の人は普段忙しく仕事をしている人が多いので、『何もしない贅沢』を求めてくる。都会の人は雲の流れを見たり、妙高山を見たりするだけで感動するんです」と。
まさに、赤倉観光ホテルの客は、都会にはない自然や眺望を求めているということが分かる。それでなくては、いくら富裕層といえども1泊5万円、6万円のホテルには来ないであろう。
また、後藤統括支配人は「好調の要因はリピーターが多いということで、それプラス、国や県の経済政策が上手くはまった。満足度が高いことがリピーターに繋がっているわけだが、社員には接客は観察力、声かけが必要だと言っている。例えば、下部に手を当てている子供を見て、トイレを探しているなと気づくかどうか。また、顧客情報や客の好みのほか、ホテル側の粗相があった場合は、一瞬にしてメールにて全社で共有する」と語る。
ミシュラン新潟版でもホテル部門で選出された赤倉観光ホテルは、断トツの強みを持つリゾートホテルであった。
【関連記事】
「何もしない贅沢」を求め、富裕層の観光客が集まる赤倉観光ホテル(新潟県妙高市)(2020年3月1日)
(文 梅川康輝)